【43】 主人と別れた方がいいのかな?
奈美「主人と別れた方がいいのかな?」
奈美が大輔の胸から言葉をかけた。
大輔「ご主人さんの負担を軽くするってことですね」
奈美「うん」
大輔「どうなんでしょう?」
奈美「こうやって、あなたと寝ていること自体、変よね」
大輔「確かに」
奈美「私、これって、二股かけていることになるのかしら?」
大輔「それは、考え過ぎじゃないですか?」
奈美「私、なんだかあなたを好きになりそう」
大輔「それは、僕も同じですが、」
奈美「『ですが』なに?」
大輔「まだ、奈美さんは、妻という立場ですし、これって不倫になるのかな? と」
奈美「それこそ、考え過ぎじゃない?」
奈美が大輔の上に這い上がり、大輔にキスをした。大輔はされるがままにした。
大輔「ご主人さんが居なくなって何年でしたっけ?」
奈美「海斗が6歳の時だから3年」
大輔「その間、一度も手紙も電話も無いの?」
奈美「一度もないわ」
奈美が大輔の耳元で、
奈美「ねぇー、」と、ささやいた。
そのときだった。家の電話が鳴った。
『ルルルルル、ルルルルル』
奈美と大輔がドキッとした。息をひそめた。
『ルルルルル、ルルルルル、ルルルルル』
奈美が起きて、電話の方へ歩いて行った。
『ルルルルル、ルルルルル』
奈美が電話に出た。
『ガチャッ』
奈美「切れたわ」
奈美が出るのと切れるのと同時だった。奈美はその足で窓際に座り、カーテンの端から外を見渡した。
奈美(誰か居るのかしら?)
だが、誰も見当たらなかった。
奈美は再び電話の前に30秒ほど立っていた。しかし、もうかかって来なかった。奈美は元の布団へと戻って行った。
奈美が戻ると、大輔が奈美の耳元で、
大輔「盗聴されている?」
奈美「まさか?」
小声で言った。奈美が横を向いて大輔に抱きついた。大輔もその奈美の背中を強く抱きしめた。二人は、不安のまま、眠りについた。




