【04】 後頭部を打った海斗が、倒れたまま動かない!!!
80人ほどの児童が、美浦市役所入口ロビーに到着した。
引率の先生と小学生たちが、ジョーブ君とアルクサ姫に挨拶をした。
先生「おはようございます」
児童「おはようございます」
先生「今日は、よろしくおねがいいたします」
せっかく挨拶をしてくれても、ジョーブ君と、アルクサ姫はしゃべることが許されてない。だから挨拶を返す代わりに、二人は、おじぎをした。
ジョーブ君はおじぎをして、はじめて自分の足元がみえることに気付いた。ふつうに、ただ立っていると、頭部と腹部が大きすぎて足元がよく見えないのである。
由夏「みんな、よく来てくれたわね。今日は、市役所を代表して、国民健康保険課のジョーブ君とアルクサ姫が出迎えに来ました。朝からずうっと待っていたのよ」
アルクサ姫が、思いっ切り手を振った。それを見たジョーブ君も慌てて手を振った。
小学生A「うわーっ、大きい」
小学生B「かわいい!」
ロビーから、小学生たちは20人ずつ4班に分かれて、行きたい課に移動した。ジョーブ君、アルクサ姫、出迎えた小竹係長も、それぞれ別々の班に同伴した。
アルクサ姫と一緒の班は、最初に道路課に移動した。
ジョーブ君と一緒の班は、最初に住民課に移動した。20人の小学生たちが住民課に着くと、小学生の代表がカウンター越しに、近くに居る職員に質問をした。
小学生「美浦市には、何人が住んでいるのですか?」
職員はどんな質問がくるのか、事前に知らされていない。ちょうどカウンターの受付に座っていたのは、丹沢純也だった。
丹沢「住んでいる全員の数を『人口』と言うんだけれどね、美浦市の『人口』は約10万人です」
小学生たちが、その答えをノートにメモした。
税務課のカウンターには、井畑富美(いばた・ふみ45歳)、笹倉麗子(ささくら・れいこ58歳)、由利源吾(ゆり・げんご30歳)の3人が立っていた。
富美「社会科見学の生徒たち、次、税務課に来そうよ!」
富美は、ついさっきまで住民課で様子を覗っていたのだ。
麗子「えーっ、困ったわ」
由利「住民課では、生徒たちが、どんな質問していた?」
富美「人口を聞かれていたわ」
由利「それなら、私でも答えられるな。良かった」
富美「うん。小学生だからそんなに難しい質問は出ないと思うけど」
麗子「そうね」
富美「子供たち、去年も税務課に来たの?」
富美は今年の異動で住民課から税務課に来たため、前から税務課に居る麗子に聞いた。
麗子「来なかった」
富美「なら、いいわね。住民課は毎年必ず来るのよ」
麗子「市役所の顔だからね。来客数も市役所の中で一番だからね」
富美「まぁね」
麗子「あっ、来たわよ!」
小学生たちが税務課の方へやって来た。
麗子(通り過ぎますように……)
由利(通り過ぎろ!)
麗子が祈り、由利が念じた。
小学生A「次は、ここだっけ?」
小学生B「そう、ここよ。税務課」
麗子(うわーっ、来た!)
由利(なんだ、来るのかよ)
小学生C「税務課って何する課なんだろう?」
麗子(その質問をするのかしら?)
由利(よし、それなら答えられそうだな)
小学生A「次は、誰が質問する番だ?」
小学生B「伊織じゃない?」
伊織「うん、わたし」
若草伊織(9歳)がそう答えると、グループ20人が税務課のカウンターの前に集まってきた。伊織がグループの先頭に立ち、海斗はグループの一番後ろに居た。海斗の横にはジョーブ君が立っていて、そこから伊織の代表質問を聞こうとしていた。
カウンターには、麗子と由利が居た。富美はいつの間にか消えていた。
伊織は市役所の社会見学で、過去にないとんでもない質問をするのだった。




