【03】 社会科見学とマスコット人形
午前10時。
美浦市役所入口ロビーでは、国民健康保険課のマスコット人形、「ジョーブ君」と、「アルクサ姫」が、社会科見学の小学3年生を出迎えていた。そして、ふたつのマスコット人形を誘導する役目が、係長の小竹由夏(こたけ・ゆか・33歳)であった。
「ジョーブ君」と言う名前の由来は、日本語の「丈夫」と、アメリカのスポーツ医「フランク・ジョーブ」を合わせた名前からである。
「アルクサ姫」と言う名前の由来は、米国や英国で女性に多い名前「アレクサ」を文字ったもので、歩くのは健康にも良いので「歩くさ!」と言って欲しいという願いを込めて付けた名前である。
ジョーブ君のマスコット人形の中に、主任の大輔が入り始めた。
アルクサ姫のマスコット人形の中には、主事の姫野祐希(ひめの・ゆき・25歳)が入り始めた。
小竹由夏「どう? 着ぐるみの中に入った気分は?」
坂口大輔「なんか、ウルトラマンに出て来る怪獣を思い出しますね」
由夏「そうなんだ」
大輔「ヒドラ、ゴモラ、ガボラ、ゲスラ」
由夏「良く覚えているわね。全部、最後に『ラ』が付くのね」
大輔「そうですね。恐竜は『なんとかドン』『なんとかザウルス』が多いのですが、怪獣は『なんとかラ』ですね。代表的なのが『ゴジラ』に『モスラ』ですかね」
由夏「すごいわね。坂口さんて怪獣評論家?」
大輔「ええ、まぁ。怪獣を見て育ちましたから。特に笑っちゃうのが、日本の怪獣は空手が出来ることですかね」
由夏「ははははは」
祐希「ふふふふふ」
大輔「怪獣が、空手が上手なんて変でしょう?」
由夏「怪獣だって人間と同じように育ち、塾に行ったり、空手を習ったり大変だったのよ」
大輔「なるほど、そうか! それで長年の私の疑問が解けました。怪獣も人間も、子供の頃の生活は同じなんですね」
由夏「私は、そうじゃないかと思うわ?」
大輔「もうひとつ疑問だったのは怪獣が死ぬ時って、必ず爆発するんです。いつの間に体内に火薬を仕掛けたんでしょうね?」
由夏「簡単よ」
大輔「えっ?」
由夏「『かやく(加薬)御飯』を食べたのよ」
大輔「ははははは。うまい!」
祐希「つまらない。オヤジギャグじゃなくて、オバンギャグね」
大輔「しかし、暑いな。ひぇーっ、暑い、暑い。サウナ状態だ」
祐希「半端じゃない暑さね。熱中症になりそうよ」
大輔と祐希がマスコット人形の中からしゃべっていた。
由夏「ふたりとも文句を言わない。30分交代だから、それまでの辛抱よ」
大輔「こうしてみると、ディズニーランドのキャラクターの中に入っている人達はすごいですね。めちゃくちゃ動きがいいもんなぁ」
祐希「本当ね。サンリオピューロランドの人達もすごいわよ」
大輔「今度、みんなで勉強のために行きましょうよ」
祐希「うん、行こう、行こう!」
由夏「さぁ、生徒さんたちが来たわよ。おしゃべりは、おしまい!」
事故はこの後に起こるのだった……




