【02】 授業参観「鳥で頭に『つ』の付く鳥は?」
【回想の始まり】
先生「鳥で頭に『つ』の付く鳥、知ってる人?」
奈美は教室の後ろで他の父兄に交じって国語の授業を見ていた。
海斗「は~い」
元気よく最初に手を上げたのが海斗だった。
奈美の周りの父兄が
父兄「あれ、松島さんよ」
その言葉に釣られ、奈美は周囲に対して何度も小さく頷いた。
海斗の後に他の児童も段々と手が上がった。ほぼ全員の手が上がったところで、
先生「じゃぁ一番早く手を上げた松島君、答えを言う前に文字は何文字?」
海斗が指を折り、
海斗「3文字!」
その答えを聞いて先生が頷き、後ろで見ていた奈美も自慢げに頷きながら笑みをこぼした。
父兄のひとりが、児童に聞こえないように、奈美に言った。
父兄「『ツグミ』もありよね」
奈美「あっそうか。でも、その鳥の名前はきっと知らないから」
先生「じゃぁ、松島君、答えは?」
海斗「つくね!」
大きな声で自信たっぷりに答えた。
生徒「ははははは」
父兄「わははははは」
大ウケで笑いが巻き起こった。
奈美「スッスッスッス」
奈美も釣られて苦笑いした。
先生「『つくね』か。松島君はよく食べるのか?」
海斗「はい、よく食べます。でもお母さんの方がもっと食べます」
父兄「わははははは」
海斗「お母さんは、お酒を飲みながら食べます」
父兄「わははははは」
海斗「飲む量も、半端でないんです」
父兄「わははははは」
大ウケで、何度も笑いが巻き起こった。
奈美はどうリアクションをしていいのか、迷ってしまったが、
奈美「うーん、もう……」
先生「うん、あれはうまい、うまいよな。酒にも合うし」
先生がフォローし、この場をうまく治めた。
海斗「はい」
先生「『はい』って、海斗君も酒を飲んだことがあるのか?」
海斗「はい。水と間違えて」
父兄「わははははは」
先生「誰にでも間違いはある。気にするな」
海斗「はい」
海斗の担任は、思いやりのある先生だった。奈美はあとで担任の先生が下戸であることを知り驚いたのだった。
【回想の終わり】
奈美「海斗、変なこと言ってもいいのよ。友達を傷つけるようなことでなければ」
海斗「うん、わかった」
奈美「みんなが笑うのなら、いいのよ」
海斗「わかった。じゃぁ行くよ」
奈美「いってらっしゃい」
海斗はすぐ近くの通学班集合場所へと向かった。
奈美は、市内のスーパーマーケットでパートタイマーとして働いている。奈美も後片付けを済ますと職場に向かった。




