【16】 私、お風呂に入ってきます
大輔が電話を切った。そばで奈美が大輔の電話を聞いていた。
大輔「大丈夫です。課長に許可をもらいましたので、このままここに残ります」
奈美「ごめんね。わがままで」
大輔「いいえ、とんでもありません」
奈美「だって、急ぎの仕事もあったんでしょう」
大輔「明日頑張ります」
奈美「じゃぁ、今日はここで夕食をして、お風呂も使ってください」
大輔「では、そうさせていただきます」
奈美「何か食べたいものとかある?」
大輔「では、カレーライスを」
奈美「カレーでいいの?」
大輔「はい」
奈美「遠慮しないでいいのよ」
大輔「松島さんの料理は何でもおいしいんでしょうけれど、おいしい物は食べ慣れてなくて。私には、カレーライスかラーメンが一番落ち着くんです」
奈美「男性って、そういう人が多いわよね。カレーとラーメンで生きていけるのよね」
大輔「はい。あと、たまに牛丼です」
奈美「ふふふふ」
その後、大輔は、海斗の寝る部屋の隅で、ひとりくつろぎ、それから、奈美とテレビを見ながらゆっくりと食事をし、食事が終わると風呂に入った。
その間に奈美は、海斗が寝ている布団の両脇にそれぞれ布団を敷いた。
大輔が風呂から出てきた。
大輔「お風呂、お先にすみませんでした」
奈美「いいえ、とんでもない。布団なんですけれど?」
奈美は、海斗が寝ている部屋へと近づいた。
大輔「はい?」
奈美「嫌だったら言ってね、海斗の両脇に敷いたんだけれどいい?」
大輔「私は、どこでも寝られればOKです」
奈美「そう、良かった! 嫌だったら、他の部屋に敷くから言ってね」
大輔「私の方は、どこでも。それより、松島さんの方が気を遣うんじゃないですか?」
奈美「全然。私、久しぶりに『川の字』で寝て見たかったの」
大輔「『川の字』ですね。わかりました。ご主人様の代役ですね」
奈美「でも、こんな年上の女性とじゃ迷惑なんじゃない?」
大輔「それこそ、全然です」
奈美「良かった」
大輔「そんな年上と感じていませんし」
奈美「そう言ってもらえるだけでうれしいわ。じゃぁ、私、お風呂に入ってきますので、先に寝ちゃっていいですからね」
大輔「はい、ありがとうございます
奈美は、部屋の灯りを豆球だけにすると浴室へと去って行った。
大輔は、奈美の言葉通り眠れるかな? と思ったが眠れなかった。目をつぶるのだが、いろいろなことが自然と脳裏をよぎり眠れなかった。




