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最弱スキル【地図】が【こうしえん】になった!? - 高度戦術支援地図で最強クランに成り上がれ!  作者: 秋乃せつな


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第78話 性質

 最後にもう一度フルパ五匹のモンスターを燃やして終了。


「よし、今日はここまでだな。タイタンズが地上に戻る前に帰ろう」


 まだ昼になろうかという時間で本日の現場終了。


 隠し部屋も無いので第一階層に【瞬間移動】。ロビーでのクールダウンを早めに切り上げて車に戻るとホッとした。今日はなかなか内容が濃い冒険だった。


 葵と園子はまだキツそうだ。装備もそのままでシートにもたれているのでヘルメットを外すのを手伝う。


「ふぅ。兄やん、これも外したってー」


 葵が苦しそうにライトアーマーを脱ごうとしていた。


「大丈夫か? 苦しいのか?」


 札束を香流(かなれ)に渡しながら葵に駆け寄る。


「あー、兄やん、先に自分の脱いでからでエエで」


 狭い車内だとやはり装備を身に付けていると不自由だ。寅吉さんは後部ドアからトランクルームに乗り込んで装備を外している。そのあとは前席に移動だ。キャビンの前後はカーテンで仕切られている。俺は彼女たちと一緒に装備を脱着している。同居しているメリットで素肌の見えない着替えぐらいはもう平気だ。家だと葵が肌着姿で平気でうろついているのでみんな耐性が出来るのも早かった。まぁ、園子あたりに毎回注意はされるのだが。俺はもちろんパンイチで歩くような真似はしない! おっさんがデリカシーまで失くすとそれはもう粛清の対象だ。気を付けよう。


 アーマーを外そうとしたら後ろから手が伸びて手伝ってくれた。


「香流、サンキュー」


 訓練の成果であっさりと装甲が脱がされる。そのまま流れるようにアンダーウェアを引っ張り出される。冒険者用のアンダーウェアは防刃(ぼうじん)製で、それなりに厚みはあるが、通気性に優れ、収縮性もあって身体にピッタリ張り付くように出来ている。不快感はまるでない。


 最初の頃はアーマーの下に冒険用のジャケットも着ていたのだが、アーマーに温度調整を付けたらジャケットを着ていると逆に調整が上手く身体に伝わらないことになったので、ダンジョンダイブではジャケットは着なくなってしまった。


「あぁ、香流、アンダーウェアは帰ってからでいいよ」


「あら、残念」


 このまま上に私服を着れば問題ないからね。わざわざ車内でおじさんが裸になる必要はない。そんな瞬間に間違ってドアが開けられようものなら事案になってしまう!


「お待たせ」


 サクっと葵のアーマーを外す。装甲の下はアンダーウェアだけだ。うーん、相変わらず葵のアーマーを外す時はアレが飛び出す迫力が凄い。これが成長期ってやつか。中衛を任せようかと思う葵だが、やはり体形的に弓矢を使うのは難しいかもしれないな。そろそろボーガンを引けるぐらいの身体強化になっているだろうか。こういう考証が出来るのも着替えを一緒にできるメリットかもしれない。しかしなぁ。


「葵、若い内は必要性を感じないのかもしれないが、肌着は身に着けておいた方がいいんじゃないか?」


「んー? 肌着ってなにぃ?」


 アーマーを脱いだ解放感で伸びをする葵がキョトンとした顔をしている。


「はぁっ?! 葵! あんたまさか! くっ! 家に帰ったらお話しましょう」


 後席から身を乗り出した園子が葵を見てうなだれる。うん。園子姉さんの言うことをよく聞いておくんだよ。そういうのって若いうちからケアしておいた方がいいんでしょ? 知らんけど。


 園子が負傷した時の一件を受けて、香流(かなれ)から、緊急時の訓練を兼ねて普段からアーマーを脱ぐ時はお互いに脱がせ合うようにしようという有意義な提案が出された。以来、こうして装備を外し合っているが、葵と園子がこの調子なので俺と香流ばかりが脱がすのが上達している気がする。


「よし、次は園子。今日はクールダウンが短かったからキツそうだな」


 最後に香流の装備も外す。全員の装備に温度調整が入っているので汗の匂いはないのだが、それはそれで困る。


「ん? 兄やん、どうかしたん?」


「え?! いや、なんでもないよ」


「いやいや、怪しいな。パーティー内は秘密禁止やで。ちゃんと言いや」


「うっ、そうだな。いや、ただこう、君たちの装備を外した瞬間にな」

「えっ! なんか臭《にお》うてたん!?」


 バッ! と、園子と香流が俺を振り返る。


「いや! 違うんだ! 汗臭いとか無いから! 逆! 逆だから! あのー、その、な? 君ら女の子だからさ、いい匂いがして戸惑うな、と思ってな? 逆に俺のアーマーを外してる香流に訓練とは言え毎回嫌な思いをさせていないかと思って。あと、俺がパーティーリーダーとしてこんなこと思ってたらイカンと反省しているところだ。スマン。だからやっぱりこれは時々訓練としてやるだけで」

「ダメ!」「あかん!」


「千里さん、これは訓練です。千里さんが不快に思っていないのであれば大丈夫です。その逆の意味であるならこっちのものではなく私たちもまったく問題ありませんし、千里さんの匂いを直(じか)に嗅ぐのはこちらとしても大変芳(かぐわ)しく重畳(ちょうじょう)でこれは我々の命に関わる大事な儀式です。だからこれからも絶対に続ける必要があります。よろしいですね? なんならアンダーウェアの脱着まで範囲を広げる必要性を今猛烈に感じています」


「え? いや、そこまでは必要ないでしょ。あ、でも一回、アンダーウェアを切る訓練はした方がいいな。俺は園子で一回やってるけど、なかなか力が必要だったからな。それで、さっき香流がなんか変なこと言って」

「千里さん! その訓練! 絶対に必要です! 今すぐそれを脱いで寄越してください! ちょうど汗をかいた直後でぴったりです!」


「いや、汗は関係ないでしょ」

「いいえ! 濡れた状態が本番に近いのです!」


「うわ、ちょっ! 香流!」

「兄やん! おとなしゅうしときや!」

「千里! これは訓練なのよ! 我慢して! 痛くしないわ! すぐ終わるから!」


「お前たち急に元気になってないか!? クールダウンどうなって、うわぁ!」


「ほ、ほう。なるほどな。脱がせたてはなかなかやな」


「ふぅん。思った通り、よね」


「ええ、このお方、やはり特別でいらっしゃいますわね」


「いや、お前たちそれ、何の訓練なんだよ。おじさんの脱ぎたてシャツの臭い、嗅(か)がないでくれる? どんな罰ゲームなんだよこれ」


「うーん。やっぱり兄やんからなんか出てんねんて。臭《くさ》ないねん。兄やんのベッドと同じ匂いしてんで」


「ん? ちょっと葵、アンタなんで千里のベッドの匂い知ってんのよ」


「え?! あー、あれや! たまーに兄やんの部屋に遊びに行った時にたまたま偶然昼寝してしもたことがあるいうか」


「あー、そうそう。葵は昼に俺がネットで情報収集してる時は毎回話し相手になりに来てくれてそのまま寝ちゃうんだよな。わははは」


「うふふふ。なるほど。そうでしたのですね。そんな手がおありになったとは」


「ふーん。じゃあこのシャツは私と香流で分ければいいわね」


「いや、分けなくてもそのまま切り刻めはいいだけだろ。今やろうか? ちょっとここだと狭いけどまあこれも訓練か。えーと、ナイフナイフ」


「千里! 大丈夫よ。訓練は家に帰ってからたっぷり時間を掛けてやるわ。葵、あなたもよ。帰ったらわたしの部屋に集合で反省会だから」


「え? だったら今脱ぐ必要なかったんじゃないか?」


 俺の言葉は完全に無視されて何かひそひそと話しをしている。なんと訓練に前向きで研究熱心でやる気のあるパーティーメンバーであることか! やっぱりメンバーに恵まれてるなぁ。と、思いながらTシャツを着て匂いを確かめるけど自分では何も感じない。とりあえず帰ったら小佐原(おさわら)さんにアンダーウェアを裁断できるハサミが作れないか相談してみよう。


 香流がアイテム保管用のジッパーの付いたビニール袋に俺のシャツを畳んで入れていた。臭いが漏れないようにしっかりと二重包装にするほどだ。なんか、良い匂いとか言って気を使ってくれてたんだな。スマン。でも君ら、さっきからずっとみんなして肌に密着するアンダーウェア姿のままなんだよ。服を着てくれないと目のやり場に困る。


 その後はすっかりクールダウンが終わったみんなが着替え終わると香流による報酬の分配だ。


「今日の魔石は、このあとギルドに行って必要分を残して先日のグラスウルフの分と一緒に換金します。一度に全部換金すると現場が混乱するので小出しにしますけれど。大剣は後日、小佐原(おさわら)さんに素材としてお渡しします。とりあえず今は現金の三百二十万円を分配支給いたします。パーティー資金にキリよく五十万円、残り二百七十万円を五等分で、ひとり五十四万円ずつになります」


 パーティー資金はそのままマジックバッグに収納して、いざという時の地下ダンジョンでの買い物用としてプールすることにした。


「うわぁ。五十四万も財布に入らへんて!」


「あははは。午前中だけでこれなのよね。なんか笑っちゃうわね」


「地下であった嫌なことも忘れられるな! 寅吉さん、現金支給だとヘソクリに出来ちゃいますね?」


「んんっ?! いいいやだなぁ! ぼくがそんなことするわけがないでしゅよ! わははは!」


「そうですよね! 失礼しました! わははは」


 めっちゃ噛んでたな。これ以上ツッコむのは止めておこう。世の中には知らない方がいいことは山のようにあるのだから。


「葵、みんなもだけど、家に帰るまで邪魔ならマジックバッグに預かるよ」


 そう言ったらみんな五十万ずつ寄越してきた。財布に四万足すだけでいいんだ。ホント、みんな欲が無いというか、なんというか。こういう時にあらためてなんて良い娘さんたちなんだと思う。

【パーティー名:Renegades(レネゲイズ)】

L:星名千里(ほしなせんり):SEN(Lv15→16)【高度戦術支援地図】Lv.2/5(Exp.4/5)

2:寅吉勝利(とらよしかつとし):タイガー(Lv.65)【剣術】

3:岩沙香流(いわさかなれ):クローザー(Lv20)【絶対領域】6/9/Day

4:西宮園子(にしのみやそのこ):マネージャー(Lv16→17)【瞬間移動(テレポート)】3/9/Day

5:川下葵(かわしたあおい):エース(Lv15)【範囲攻撃魔法:地獄炎(ゲヘナ)】5/9/Day

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