表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/100

自分を知る方法

 探偵は事務所のソファで、だらっと寝転がっていた。

 腕を枕にして、天井をぼんやり見ている。


「ねえ」


「ん」


「自分のことって、どうやったら分かるの?」


 探偵は少しだけ目を動かした。


「分からないのか」


「分からない」


 相棒は椅子に座りながら言う。


「何が好きかも」

「何が向いてるかも」

「何がしたいかも」


「よく分かんない」


 探偵は少し考えた。


「好きなことはな」


 少し間。


「変わる」


「え」


「でもな」


 天井を見たまま言う。


「嫌いなことは、あんまり変わらない」


 相棒は黙る。


「仕事辞めた理由、思い出してみろ」


「人間関係」

「休みない」

「給料安い」

「怒鳴られる」

「通勤遠い」


「……いっぱいある」


 探偵はうなずく。


「それが、お前の地雷だ」


「地雷」


「そこ踏むと、ダメになる」


 相棒は少し考える。


「じゃあ、好きなことは?」


 探偵は少し考えた。


「一人の時間」

「静かな場所」

「金の心配がない」

「好きなことしてる時間」

「大切なやつと飯食う」


「そういうとき、機嫌いいだろ」


 相棒は少し笑った。


「……いいかも」


 探偵は言う。


「自分を知るってのはな」


 少し間。


「何が好きか探すことじゃない」


「何が嫌か知ることだ」


 相棒は黙る。


「嫌なこと避けて」

「平気なこと選んで」

「ちょっと好きなことやる」


「それくらいでいい」


 相棒は少し笑った。


「なんか、ずいぶん適当だね」


 探偵はソファの上で体勢を変えた。


「人間な」


「すげぇ幸せじゃなくてもいいけど」


 少し間。


「すげぇ不幸は、きついぞ」


 部屋が少し静かになる。


「だから」


 探偵は言った。


「幸せになろうとするより」


 コーヒーを一口飲む。


「不幸にならないようにした方がいい」


 相棒はしばらく黙っていた。


 やがて、小さく言った。


「……それなら、できるかも」


 探偵は小さく笑った。


「だろうな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ