幕間 王都③
「また引っ越したのか」
王都の見回りをしていた騎士が空き家となった屋敷を見てため息をしながら呟いた。
最近になり王都から引っ越していく人が多くなった。
「やはり亡霊が原因か……」
騎士団にも住民から『なんとかしてくれ』という声が届いている。
曰く深夜にザッザッと何かが歩く音がする。
曰く人のような呻き声が聞こえる。
曰く家の物が勝手に落ちたり扉が勝手に開く等……。
数え切れない訴えが騎士団に届いたが今の所騎士団としてはどう対応すれば良いかわからない。
「王に報告しても全く返答も無い、というのも問題だよなぁ……」
一応、王には報告は行っている筈だが命令が全く来ない。
今の所、貴族や王族には被害が無く結局は他人事に思っているのだろう。
こんな対応されれば王族に対する不信感は徐々にだが高まっていく。
実際の話、何人かは騎士団に辞表を提出し王都を去っていった。
この騎士も退職をそろそろ考えている。
「このまま文字通り亡霊都市になってしまうのか……」
すっかり賑やかさを失った街を見ながらこの国の行く末を案じていた。
そんな時、騎士の耳にある音が聞こえた。
ザッザッザッザッザッザッ。
ズルズルズルズル。
「えっ……」
騎士が見たのは人の形をした『何か』が列を成して歩いていた。
ある者は死体を引きずり、ある者は武器を持ち、ある者は首が無く……。
その行列は城へと向かっていた。
まるで攻め込むかの様だった。




