晴れない空
翌日、俺は憂鬱な気持ちで学校に登校した。
梅雨も明けたというのに、俺の気持ちが晴れることはない。
「いつも以上に、辛気臭い顔してますねぇ。」
そうして、背後から俺に声をかける男が一人。
足を止めて振り返ると、そこにはクラスメートの中島柊輝がいた。
こいつも、昨日の事件現場に居合わせたうちの一人である。
「俺の顔はいつも辛気臭ぇってか。」
「そんなつもりじゃありませんよ。」
ヘラヘラとした態度、バカにしているような口調。
こいつは本当に人を苛立たせるのがうまい。
「つーか、仕方ねぇだろ。お前も居たんだからわかるだろ。」
俺は背を向け再び歩き出す。
助けを求める声が、まだ耳に残っている。
「まぁ、気持ちはわかりますよ。」
そう言いながら柊輝も歩みを進める。
「それでも、いつまでも引きずるのは違うでしょう。」
確かに、こいつの言っていることは一理ある。
引きずっていても、昨日の事件がなかったことにはならないし、自分達が仲間を見捨てたという事実は変わらない。
言い返そうとするも、言葉が見つからない。
その事実に苛立ちを感じ、やり場のない感情はやがて、俺の中でため息へと変換されて体外に出た。
「ため息ばっかじゃ、酸欠になっちまいますよ?ほら吸って吸って。」
お前がその元凶なんだよ、と言ってやりたかったが、口には出さないでおくことにした。
言ったところで、こいつが態度を変えるとは思えない。
柊輝の足音が、やけに耳についた。
昨日の声と混ざって、胸の奥がざわつく。
気がつけば、校門が目の前にまで迫っていた。
「着きましたよ。今日も一日頑張りましょうや。」
柊輝は相変わらず能天気だった。
その声が、今はただ鬱陶しかった。




