41話 頂上騎士予備軍
「なんで居るの?なんで居るの?」
「わからないなぁ!というか君こそ僕が殺したはずなのになんでいきてたのさぁ」
白色の浴衣を身にまとって腕を組みながら安全柵に立っている青髪の少年⋯アルサイト・ディメルバが答える。
「貴様⋯何しに来た!」
アテナが行き多い良く立ち上がりアルサイトを睨みつける。
ジャンゴ呆気に取られているのか目を見開きフリーズしている。
そしてユメはにこやかに紅茶を飲んでいる。
緊張感は爆発した地下室に置いてきたようだ。
「まぁまぁ、僕もなんで居るのかわからないんだよね。そう言えばっと!」
アルサイトが柵から飛び乗り風山の前に着地する。
「僕しっかり庇魔の衣装備してたはずなんだけど?」
「あ、あぁ⋯あれは魔法じゃなくて粉塵爆発っていう舞った粉に火をつけて無理くり超火力を魔力無しで起こしてるから貫通したんじゃない?狙いはしたけどうまくいくとは思わなかったわ」
「へぇ〜!すご!そんな方法あったんだ!対策なくない?う〜ん⋯すごいね!」
語彙力の欠如。
それはともかくここの一番の問題はアルサイト・ディメルバが敵か味方か。
敵であった場合前回のような粉塵爆発や先ほど食らった密室爆破が通じるとは思いにくい。
この場の総力を叩いたとしても油断なしの英雄を殺すのは不可能に近いだろう。
前回のは庇魔の衣という油断を突いた技だ。
「貴様に問う。敵かそうでないのか。答えろ」
アテナが剣に手を掛ける。
「どっちでもないかなぁ!前回のは依頼で入っただけだし!それがなかったら僕は基本中立だよ!」
「⋯思ったんだけど、これお前に依頼すればもう勝ちじゃね?」
「マジで言ってんのかよ!一回の雇用でリーティドの平均年収で1年いるんだぞ!それができる財力がどこに⋯」
あるんだよなぁ。
ジャンゴが途中で押し黙る。
現在この場に居るのは逮捕された無一文が一人。王城給仕係の高級取りが一人。王女二人。
払えないわけがない。というか多分やろうと思えば100回は雇えるだろう。
平均年収は俺も把握しているが一応、数ヶ月しか働いてない俺でも0.4回は依頼できる。
「なら。依頼させてもらおう。例のアルケー・サーリアの身柄の確保、引き渡しを頼む」
「うげぇ、一番面倒なタイプの依頼だ⋯」
「やるんだろ?依頼だもんな?お金あるもんな?」
アルサイトは苦虫を噛み潰したような顔をしながら首を縦に振る。
とりあえず最強はこちらに着いた。
つまり安全な質問タイムが可能となったということである。
なんで生きているのか、なんでここに居るのか、とりあえずここは聞いておきたい。
「まずなんで生きてんの?」
「さぁ?あの爆破のあと僕はこの国で目が覚めてさぁ⋯面倒ながらも一応不正入国にならないように申請出しに来たら知ってる顔が見えたから飛んできたんだよ」
「ここから申請所ってえげつなく遠いぞどんな視力してんだよ」
分からんけど疑問が消えなかったわ。
そして三人とも頭を抱えてなやんでいる。
その中でずっと紅茶を堪能していたユメが口を開く。
「犯人を捕まえれば全て分かるでしょうし。お願いしますね?」
そういうとユメは机の下から小さな箱を取り出す。
中身は多分お札だろう。
なぜそこに置いてあったのかとなぜアルサイトに依頼を出せるその量がポンと出せるのかは考えないでおこう。ユメさんは怖かったりする。
「あ、はい。行ってくる。」
ほら、あのアルサイトが押されてる。
俺はユメさんに逆らわないと誓います。
そしてアルサイトが地面を蹴り上げ眼の前から消える。
もはや速すぎて残像すら残ってない。
よくこいつに勝てたな俺
「ではゆっくり待ちましょうか。」
「じゃぁ⋯俺はアイツらのところに行ってくる。」
「ランをよろしくお願いしますね」
「なんでラン限定なんだよ」
「なんででしょうかね?」
ユメがウィンクしながら笑顔で答える。
ランだけでなくトートやリンも心配だ。
できる限り早く元気になって欲しい、どうしようもない気持ちが募ってく。
「まあですけれど、あの時の顔が答えですけどね」
「?」
「自分ごとに鈍感なのですね、アテナちゃ⋯さんも苦労したでしょうね」
アテネは本当に分かっていないようで首を傾げている。




