39話 騒乱の中で
「大丈夫か!」
「アテナ⋯この二人を頼む!」
「任せろ」
爆発音を聞いて駆けつけたアテナにリンとトートを渡す。
とにかく地上へ持っていかなくては。
「お〜い⋯うわ⋯どうしたんだよお前ら。」
「ボロボロ。どうしたの」
牢屋から声が聞こえるが無視して進む。
今はランを治さないといけない。トートもリンも危篤なんだ。
かまっている暇はない。
「無視すんなよ。寂しいなぁ」
「急いでる。黙ってろ」
「治癒魔法ぐらいならかけてやろうか?」
「本当か!?」
とっさに牢屋を掴み問いかける。
少しでも早く治療ができるなら願ってもない。
「おぉ、おう⋯ちょっと貸してみろ」
「わかった!」
牢屋前の手の届く範囲にランを寝かせる。
アテナもそれを見て心配そうにアテナも二人を並べる。
その時、時見えてしまった。アテナが泣きそうな顔をしながらトートをゆっくり撫でるのを。
そうだ、忘れていた。俺だけじゃない。姉であるアテネもトートが心配なんだ。
俺がしっかりしないといけない。
「じゃあミーア、頼んだ」
「ん。まかせるの」
「頼む⋯助けてやってくれ」
ミーアの小さな両手がランの頭を撫でる。
そして淡い黄色の輝きがその両手を包み光る。
「大地の命を。空からの光を。海からの恵みを。その全ての力を我が糧とし、我にその全てを与え給え。その優しさを願い、活かし、かの者を癒そう。癒し」
「跡が消えてる⋯!」
その光が酷く爛れた跡を剥がすように癒されている。
ランが治る、それだけでこの三人と関わってよかったと思う。
「治癒魔法ぐらい覚えておけよ。便利だぞ」
「あぁ⋯!ああ!そうする⋯!ありがとう⋯」
「二人も頼めるか?」
「分かったの」
そうして同じように治療魔法を二人にかけ始める。
それに安堵したように壁を背もたれにアテナが座る。
「というかあんた王族だろ?なら治癒魔法ぐらいできるだろ」
「⋯あぁ⋯出来はするんだが⋯自分にしか使えないんだ。そういう制約で⋯無理矢理効果を引き上げている」
「そういう理屈だったのか⋯待ったそれ王国最高レベルの機密じゃないか?」
「アテナはそういうのよく出すポンコツだから良いんだよ⋯」
いつもより掠れた声でツッコむ。
もはやアテナにツッコむ力はない。流石に疲れた。
「ところで、もう一人は?」
「寝てるよ、見えないのは無意識的に能力使ってるだけだから気にすんな」
「不便なのか便利なのかわかんねえ能力だな⋯」
牢屋内を見渡しても二人以外見当たらない。
そして室内に特に穴もなく脱出口が無いので一旦本当だろうと納得する。
正直もう面倒事を増やしたくない。
「そういやお前緊急時ってのもあるがやっとまともに口聞いてくれたな」
「まともに最初から応対してるだろうがボケ、右踝抓るぞ」
「どんな脅しだよ。いや、お前ここ何度も通るたび話しかけてたけど「黙ってろ」とか「知るか」位しか言わなかったじゃねえか。」
「なんで声マネ似てんだよ。というか俺がここ通ったのは行きと帰りで二回じゃ左臀部回すぞ」
「もう脅しが訳わからねえよ」
何度も通るたびと言われても二回⋯てことはあの偽風山かぁ⋯
略して偽山、あいつ次第過ぎるなぁ。訳わからなくなってきたぜほんと
「そいつ偽物 i am 本物、ちょっと聞いてもいいか?」
「聞くったってほぼ知らねえよ。」
「私からも頼む。できる限り減刑もする。」
アテナが会話に混ざる。アテナが着いていた二人の方を見ると治療が終わったのか床に置かれている。
そこをミーアがつついてる。何をしてるんだあいつは。
「しゃーねぇなぁ⋯まあ最初からそのつもりでは合ったけど、教えてやるよ。でも姉御が起きてからでいいか?」
「あぁ、そのくらいは待とう。」
「なら先運んでおこ、アテナ、二人頼める?」
「お前はお前で治療を受けてこい。」




