第四章 -加藤 vs アルフレッド- 45 『その頃、西の山の中では・・・』
加藤がアルフレッドと死闘を繰り広げていた頃。
《岐阜の街》から遠く西に離れた岐阜県の県境では、大量のモンスターと冒険者たちが、同じように死闘を繰り広げていた。
「ーーーたくよぉ!! 前回の《怪物災害》から1月も経ってないのに、まぁた大量のモンスターが発生しやがったのかぁ!?」
次々と迫り来るモンスターを、改造銃で狙い撃つのは、岐阜県に4つある街から出向してきた1人の冒険者だ。
「仕方ねぇだろ。こんな世紀末のご時世だ。安息の日々なんざ 来ねぇよ」
「だからって・・・なんで俺たちが こんな危ねぇ事を・・・っ」
「おいおい。モンスター討伐は、俺たち冒険者さまの仕事だろ? 日頃から働かずにチヤホヤされてんだから、こんな時くらいは命を懸けろーーー、よっ!!」
言いながら、改造銃を持つ男の隣にいた別の冒険者は、接敵してきたゴブリンライダーをバールで殴打して殺す。
瞬間、ビチャっ と熟れた柿のようにゴブリンの頭部が弾け飛び、彼が騎乗していたシカが支配を離れて遠くに走り去ってしまう。
「ーーーなにが命懸けだよ。俺たちゃザコ狩り専門の冒険者じゃねぇか。スライム、ゴブリンよろしくの卑怯者だろ?」
「そんな卑怯者にすりゃ、今は稼ぎ時だろ? 見てみろよ」
バールの冒険者は、くいっ と前方を顎で指し示す。つられて、改造銃の冒険者が前を向くとーーー、彼らの前方には、大量の低級モンスターが波のように侵攻してきている。
その数、100や200では効かない。5000〜6000は居るだろうか。
当然、そのモンスターたちに対抗するべく、冒険者の数も相当数いる。
つまり、戦国時代の戦争よろしく、大軍と大軍の衝突が巻き起こっているのだ。
彼ら2人は、戦場の端に位置取り、乱戦から逃れたザコを狩っているに過ぎなかった。
「たくよ・・・なんなんだよ、これ!? まじで戦国時代の戦争かよ。関ヶ原じゃあるまいし」
「ははっ。言い得て妙だな。関ヶ原古戦場はすぐそこだしな」
「だけどよ相棒。おかしくねぇか、これ?」
「何がだよ?」
「いくら大量のモンスターが攻めてきてるからって・・・俺たちなんかの低級な冒険者に招集命令が降るか?」
「そりゃ命令くるだろ。先の《怪物災害》でも、何人もの優秀な冒険者が犠牲になったんだ。人手が足りてねぇんだよ」
「だからって半分ニートな俺たちに命令が来るかーーー、とヒット!」
瞬間、戦闘を離れた虫型のモンスターめがけて、すかさず改造銃を放った冒険者。彼が放った弾丸は、見事モンスターの腹部に命中した。
「・・・こんな短期間で《怪物災害》が何度も起こりゃ、ひとつの領内での解決は難しいんじゃねぇか? 《日本復興党》に連絡して軍を派遣してもらってもいいくらいなのに・・・」
「正規軍は、7大闇ギルドを東京に封じ込めておく事に手一杯なんだろ? こんな辺境・・・つぅか、国境の端まで軍を派遣させる余裕はねぇよ」
「まぁ、確かに そうなんだろうけど・・・だったら別の領主に助けを求めるとか・・・」
「自分の領内でのトラブルは、自分で解決したいんだろ? うちの領主様はプライド高そうだしな」
「・・・あぁ。今回の戦闘の指揮を取ってんのも、その領主の女だろ? 確か、櫻井だっけ?」
「今回の招集も領主の櫻井の命令だったな」
「ーーーたくっ。そんなら、俺らみたいなニート冒険者を使わずに、自分の街の《覚醒者》とかいうバケモン使えよな・・・奴の街には 大勢いたろ?」
「しらねぇーよ。んな事、本人に聞いてこい」
「やだよ。櫻井の奴は、前線で指揮とってんだろ? 俺の実力で、んな所にいったら秒でモンスターのエサになっちまうぜ」
「だったら、ここに居て、俺とザコを狩るんだな」
「ーーーチ。分かったよ」
こうして、アルフレッドの高魔力に引き寄せられてきたモンスターの大群は、多数の冒険者によって岐阜の県境で堰き止められていた。




