第四章 -加藤 vs アルフレッド- 43 『合流』
ゴゴゴゴゴ・・・ッ と瓦礫の山がシャノンの《火球》の炎に包まれる。
「ーーーチッ」
そんな 炎に包まれる瓦礫の山に佇むのは、アルフレッドただ1人だ。
空気が焦げるほどの熱気を全身に浴びながらも、アルフレッドは涼しい顔をして辺りを見渡す。
「・・・やられたな」
瓦礫の山の彼方此方には、《火球》が撒き散らした炎が散在していた。つまり、魔力を帯びた炎が、アルフレッドの周囲に いくつも点在しているという訳だ。
「これでは魔力感知が使えん・・・っ」
こうなってくると、炎が帯びる魔力が邪魔をして、瓦礫の影に隠れた加藤の魔力が感知できなくなる。
ちょうど、サーモグラフィーで辺りを見るような感覚だろうか。熱源がありすぎて、視界全体が真っ赤になっている感じだ。
(・・・加藤 兵庫の魔力を限定的に感知するか・・・いや、私の魔力感知の精度では難しいか。ましてや、魔力を解放した 今の状況なら尚の事な)
アルフレッドは、魔力感知を切って、再び辺りを見渡した。
(・・・この場でムリに加藤 兵庫を探しても無意味か。それに、この炎の壁に阻まれていたら、また先ほどのような泥人形に強襲をかけられるやもしれんしな。流石にノーガードで あの攻撃を受けたら、然しもの俺でもダメージ必至だ・・・)
不遜な態度で腕を組み「ふむ」と呟いたアルフレッドは、次の瞬間、身体から光を発した。
「ーーー《流星闘技》」
そして、夜空を駆る流れ星のように飛び立ち、更地となった《岐阜の街》の中心部に降り立った。
「どうせ、俺と加藤 兵庫の間には《決闘状》の契約魔法が交わされている。《決闘状》が履行された以上、奴は俺から逃がれられん。ならばーーー、多少 めんどうだが、この場で加藤 兵庫が向かってくるのを待てば良いだけだ」
瓦礫が山のように堆積している街の壁際付近ではなく、障害物がなく更地となった街の中央付近に陣取ったアルフレッド。
「さぁ 来い、加藤 兵庫。さっさと俺と殺し合ってーーー、死ね」
***************
アルフレッドが《岐阜の街》の中央に向かった頃ーーー、
「アルフレッド ハ・・・シマダの予想通リ、場所を変えたみたいだナ。街の中央に陣取ってル」
煌々と燃える魔力を帯びた炎から少し離れた位置に、加藤をはじめとする7人が 揃っていた。
と、そこにーーー、
「み、みんな・・・ぶ、無事でよかった!」
「! 四門!」
単騎でアルフレッドを足止めしていた四門が遅れて合流を果たす。
これで、《岐阜の街》に残っている者たちーーー、加藤をはじめ 島田、アゲハ、シャノン、斑鳩、五島、志摩 海、そして四門の8人が、1箇所に揃った事になる。
「アンタも無事でよかったよ・・・私ぁ、あの爆発で アンタが死んだかと・・・」
合流した四門の肩を、五島が心配そうに抱いた。よほど不安だったのか、そんな五島の手が震えているのが、遠目の加藤にも分かったくらいだ。
「だ、大丈夫だよ。と咄嗟に、土塊人形を創って防いだから・・・それより・・・」
「ーーー!」
四門は、ちらり と加藤に目を向ける。
「か、加藤くん、、回復できたんだね・・・」
「ぇ、、あぁ・・・」
「ーーー加藤! 感謝しなよ!! アンタを復活させる時間を稼ぐために、四門が 1年もの寿命を《贈命》した土塊巨人を創ってくれたんだからね!」
「ーーーっ!?」
「・・・結局、、何が何だか分からないうちに、、た倒されちゃったけどね・・・」
申し訳なさそうに頭を掻きながら「たはは・・・」と笑みをこぼした四門。
「んな事、言うなよ四門。アンタが使った寿命は無駄になんてなんないよ。ーーー、そうだな加藤! アンタ、四門が使った寿命のおかげて生きてるようなもんなんだから、無駄死にしたら承知しないよ!!」
「っ!!」
五島の責めるような口調に、加藤は身を震わせる。だが実際、加藤が気にしているのは五島の叱責などではない。
それはーーー、
(ーーー四門が寿命を 1年も使っただと!?)
自分が原因で、仲間の寿命を減らしてしまった事実への自責の念だ。
「ーーーとマァ、みんな色々と言いてぇ事があるようだガ・・・今ハ、一旦シマダの話を聞いた方が良さそうだゼ」
「!?」
場を整えるようにシャノンが言葉を挟み、7人が銀髪猫耳少女に目を向けた。
「シマダ。なんか気がついた事があんだロ?」
「ーーー! あぁ・・・」
「気がついた事? 何それ」
「さっさ、アゲハがアルフレッドに向かって発砲しただろ? その時に気になった事があってな」
「なんなん、それ? アルフレッドの弱点とか?」
「そうだな・・・弱点って ほどじゃないが、うまく利用できれば、大きな隙になるような事かもしれない」
「隙に?」
「ーーーはい。かなり危険だと思いますが、俺の推測が正しく、この8人が協力すれば、アルフレッドに大ダメージ・・・いや、それ以上の・・・勝負の決め手となる一撃を喰らわせる事ができると思います」
はっきりと言い切った島田に、他7人は 思わず息を呑む。
「ただ、この作戦は、今言ったように、みんなの協力が必須になってきます。危険な事だが、協力してくれますか?」
「・・・っ」
島田の言葉に、加藤のみが再び深く息を飲み込んだ。
「ーーーいいぜ。どうせこのままじゃ、ジリ貧だろうしな。危険を犯す価値があるなら協力するぜ」
「私も。アルフレッドの奴 ムカつくし。1発かませるなら」
「子供らがやるなラ、大人のオイラがやらねぇ訳にはいかねぇしナ。オイラもやるゼ」
「ぼ、僕も・・・出来る事があるなら・・・」
「ーーーチ。四門がやるなら、私も手を貸すよ」
「私も手 貸すでぇー。島田の作戦やったら成功率 高そうやし」
「よしーーー、それならーーー」
みんなの了承が取れた、その時だーーー、
「あの・・・」
加藤が申し訳なさそうに手を上げた。
そしてーーー。
「ーーーみんな、もういいよ。逃げてくれ」




