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第四章 -加藤 vs アルフレッド- 37 『暗黒領域』


「ーーーハ?」

「・・・だかラ、カトウが受けたダメージ ヲ、オイラたちで 6人で 6当分したんダ」


 死ぬほどのダメージから復活を果たした加藤に、シャノンは淡々と これまでのあらましを説明した。

 その結果、加藤からはじめに出たリアクションはーーー、


「何・・・やってんの?」


 戸惑いと疑問が混ざり合ったような一言だ。


「・・・? 今、言っただロ。オイラの《致命傷回避(クリティカル・シフト)》デ、カトウのダメージを 6つに割っテ、オイラたちに流しコーーー、」

「いやいやいや! そこじゃ無くて! いや、そこなんだけど! なんで、そんな無茶したんだよ! 俺のダメージ 6当分なんて、下手すりゃ大ケガだって あり得ただろ!?」


 加藤は、目の前に立つシャノンを含めた 6人に、それぞれ目を向ける。

 確かに、みんな 口や態度には出さないが、ぐったり と衰弱している様子が見て取れる。1番体力が無さそうな志摩(しま) (うみ)に至っては、近くの瓦礫に半分もたれ掛かっている始末だ。


「ニャー・・・無茶どうこうハ、カトウには言われたくはねぇゼ? 魔道士なんかのバケモノに真っ向からケンカ売ってんだからナ」

「ーーーいや、でも、それは・・・っ」


 と、ここで 加藤は口ごもる。

 おそらく、“アルフレッドの目から、島田やアゲハを逸らして守るため” という、決闘を受けた理由を口走りそうになって 口を継ぐんだのだ。

 理由を知ったら、島田やアゲハが気にすると思って・・・。

 だがしかし、そんな加藤の心配も、すでに杞憂(きゆう)に過ぎない。


「ーーー兵庫(ひょうご)。私たち、もう知ってるから黙んなくていいよ」

「ーーーぇ!?」

「兵庫が《怪物闘技(モンスター・ファイト)》の闘技場で、私やマサルを守るためにアルフレッドと決闘の約束した事」

「ぇ、、、はぁ!?」


 次の瞬間、加藤は、じろり とシャノンに目を向けた。そんな抗議するような視線を、「おっト」と軽い感じで他所に逸らしたシャノンは、とりあえずの弁解を見せる。


「オイラが言ったわけじゃねぇゾ。アゲハが《第六感(シックスセンス)》で勝手に感じ取った事ダ」

「・・・っ」


 飄々(ひょうひょう)とした感じで、加藤の視線を躱したシャノン。


「ーーーねぇ、兵庫。私たちを守るために無茶するアンタを責めるつもりは無いよ。今のところは」

「ぇ? 今のところは??」

「けどさ、無茶すんなら、せめて私やマサルに“力” を借りて無茶しなよ」

「そうだな、加藤。俺たちにだって出来る事はあったはずだ。1人で抱え込まずに相談するなり頼るなりしてくれよ」

「・・・ぅ。なにその、カウンセリング受けた時に言われるようなセリフ?」


 もちろん、アゲハが言ったように、2人に加藤を“責める”気は毛頭ない。だが、2人の強い思いが、加藤を現在進行形で困らせているのは事実だ。


「つぅか、ぃや・・・何か、そんな感じなのが、もう・・・」


 口ごもりながら、訥々(とつとつ)と言葉を紡ぎ出した加藤。


「・・・そもそも、アルフレッドとのケンカを受けたのは、2人を守るためでぇー・・・その2人を危険に晒すのは・・・俺としても違う気がしましてぇー・・・」

「・・・っ! 何、それ!? それってーーー、」


 次の瞬間だ。

 ドォォンッ!! という腹に響くような爆音が、壊滅した《岐阜の街》の中に轟いた。

 加藤を含めた地上の7人は、咄嗟に身を守るように腰を落として、爆音が轟いたであろう空に目を向ける。

 するとーーー、


「ーーーなんだアレは!?」


 斑鳩(いかるが)が、突如として空に出現した真っ黒な穴を見つけた。

 まるで、青く染まる空がガラスのように割れて、異次元の扉が開いたような光景だ。


「あリャ・・・《暗黒領域(ダークネス)》カ!?」


 その真っ黒な穴の状態に気がついたのは、やはり魔法の造形(ぞうけい)に深いシャノンだ。

 シャノンは、顎が外れるくらい ぽっかり と口を開けて、青空を割った黒い穴を見つめている。


「《暗黒領域(ダークネス)》!? それは 何なんだ、シャノン!?」

「ーーー《暗黒武闘(ダークマター・ブドー)》の最高峰に位置する空間魔法ダ! 簡単に言うト、簡易的なブラックホールを作り出す魔法と言っいイ」

「ブラックホール!?」


 刹那、嵐のような暴風が 吹き荒れた。その風は空に舞い上がり、鞭のように荒くれながら、空にあいた巨大な穴に吸い込まれていく。


「うそうそうそ・・・マジで? ヤバない!?」

「あぁ・・・ここに居たら、私らも吸い込まれちまうんじゃ・・・っ」


 海と五島(ごとう)が危惧する通り、風に次いで、彼らの足元にある小石や砂利など・・・軽い物が順々に浮き上がり、空に舞っていっている。

 向かう先は当然、空を割って出てきた真っ黒な穴ーーー《暗黒領域(ダークネス)》の中だ。


「ーーーちくしょ! アルフレッドの魔法かよ!! シャノン! もっかい俺に《絶対的魔(アブソリュート)法防御装(・マジカルガード)》を掛けてくれ!! 空にあるブラックホールを破壊してくる!!」

「バカヤロ! そう何度も連続で《絶対的魔(アブソリュート)法防御装(・マジカルガード)》なんか付与できるカ!! アレ、むちゃくちゃ高度な魔法なんだゾ!!」

「だけど・・・っ! このままじゃ、みんな吸い込まれて死んじまう!! 早く手を打たないーーー、とぉ!!?」


 次の瞬間、地上にいる7人の中で、1番軽いであろう海が身体を浮かせた。


「あっぶねぇ!! 海!!」


 咄嗟に、近くにいた斑鳩が海の手を掴んだおかげで 事なきを得たが、このままでは いずれ、みんなが《暗黒領域(ダークネス)》に吸い込まれて お陀仏となってもおかしくない。


「ウワッ!?」

「危ねぇ! シャノン!!」

「ーーーきゃ!!」

「ーーーっ! アゲハ、捕まれ!!」


 今度は、シャノンとアゲハが身体を浮かせたため、加藤と島田の2人が それぞれの手を取って支える。


「あかーん! このままやったら、みんな身体浮かして吸い込まれてしまうーっ! 後に残んのは、重たいルアンちゃんだけになってしまうでぇー!!」

「海、こらぁ!! 吸い込まれる前に捻り殺したろか!!」


 こんな状況下でも、海の軽口は止まらないようだ。なんなら、軽口も いつもより浮いて、ふわふわしているまである。


「ーーーだが、このままじゃ本気でヤバいぞ! なんとかしねぇと・・・っ」


 加藤は、何か手立てがないか辺りを見渡す。だがしかし、そう簡単に《暗黒領域(ダークネス)》を打破する手段など思いつきはしない。

 そうこうしている内に、巨大な瓦礫類が揺れ動きだした。ゴゴゴゴッ と地響きをあげる周囲の瓦礫類。

 今に、ふわり と浮かび上がって、加藤たちを巻き込んで《暗黒領域(ダークネス)》に吸い込まれていきそうだ。


「ーーーくそッ! どうすれば!!」


 その時だーーー。


「ーーーッ!? アレを見ロ!!」


 四門(しもん)が創り出した、30メートルを超す土塊巨人(ゴーレム)が《暗黒領域(ダークネス)》に突っ込んで行った。

 吸い込まれているのではない。

 自ら、《暗黒領域(ダークネス)》ーーー、空に開いた真っ黒な穴に その身を預けに行ったのだ。

 瞬間、その巨体で《暗黒領域(ダークネス)》の大穴に栓をした土塊巨人(ゴーレム)


「ーーーおぉ!!」


 心なしか、加藤たちを掬い上げる風も治ったように感じる。

 だがしかしーーー、次の瞬間、ボゴォンッ!! と地響きを伴う爆音を その身から放った土塊巨人(ゴーレム)

 次の瞬間、ボゴンッ ボコボコンッ!! と似たような音を上げて、土塊巨人(ゴーレム)の身体が変形しだす。

 まるで、回転型の粉砕機に巻き込まれ、潰れていくドラム缶のように、徐々に小さくなっていく土塊巨人(ゴーレム)

 そして数秒も経たぬうちにーーー、ボブンッ という(いびつ)な音を上げて、《暗黒領域(ダークネス)》の中に その巨体が完全に飲み込まれてしまった。

 だが、吸い込む容量がいっぱいになったのか、土塊巨人(ゴーレム)が吸い込まれた直後、衣服に空いた穴が縫われるように、すぐさま《暗黒領域(ダークネス)》は閉じてしまう。


「ーーー閉じた?」


 こうして、ギリギリのところでアルフレッドの《暗黒領域(ダークネス)》から生還した加藤たちだが、およそ 1年の寿命を与えて四門が創り出した土塊巨人(ゴーレム)が、異空間へと姿を消してしまった。

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