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第四章 -加藤 vs アルフレッド- 36 『加藤、復活す』


「・・・っ」


 まるで海の中を揺蕩っているような感覚に包まれていた加藤。次の瞬間、海面に身体が引き寄せられていきーーー、そして・・・。


「ーーーぅ!!?」


 バッ と視界が開けた。

 瞬間、透き通るような青空が視界に飛び込んできて、ゴツゴツとした硬い地面の感触が背中に広がった。

 その他、数多の情報や感触を 身体の各所の感覚機関から受け取った加藤は、一瞬ほど混乱する。

 それもそのはずだ。

 今の今まで、何も感じない、上も下もないようなーーー、言わば宇宙空間を揺蕩うような感覚に包まれていたのだから、突然の色、音、感触、重力に戸惑うのもムリはない。

 だがすぐにーーー、


「ーーー(いつ)っ!?」


 現実を知らせるように、鋭い痛みが頭を突き抜けた。


(ーーー痛ってぇ・・・なんだこれ? ぁ、寝過ぎた時に たまにある、ずぅぅん と頭が重い時にあるアレか・・・)


 突然の鋭い感覚に、反射的に「痛い」と言ってしまったが、正直 それほど痛くはなかった。“痛気持ちいい” という表現が適切なくらい柔らかな感覚と言ってもいい。

 だがしかしーーー、


「ーーーおいおい、シャノン! 加藤の奴、まだ痛がってるぞ!? ダメージは移したんじゃないのか?」

「移したガ、細かすぎる痛みまでは完璧に移しきれねぇヨ」


 加藤の周りを取り囲んでいた6人は、そうは思わなかったようだ。「痛い」と言った加藤に、あたふた と狼狽(ろうばい)しきっている。


「シャノン! もう少し《致命傷回避(クリティカル・シフト)》を掛けた方がいいんじゃないか?」

「いヤ・・・これ以上は無意味ダ」

「多少の痛みなら《回復(ソール)》の方がいいんじゃない?」

「そやんねー。私らも、もうクタクタやから、これ以上のダメージ移動はキツそうやし」

「それもそうなんだガ・・・カトウにハ、ここに来る前ニ、《回復(ソール)》を重ね掛けしちまったんダ。《回復(ソール)》は 1日のうちに何度も重ね掛けするト、効果は格段に落ちるシ・・・あまり意味ガ・・・」

「それなら、やっぱり《致命傷回避(クリティカル・シフト)》を掛けた方がいいんじゃないか!? 俺は、もう少しダメージを受け入れられるぞ」

「ダメダ。シマダには これ以上ダメージは移せなイ。他の4人も同様ダ。これ以上やるト、深刻な後遺症が残る危険もあるしナ」

「・・・だったら、どうする気だよ?」

「・・・ここはオイラが引き受けル。子供の未来を守るためにハ、大人が貧乏くじを引くもんなんだヨ」

「ちょ、、だめよシャノン!」


 加藤の身体の状況を巡って、わーっ わーっ と言い合う6人。

 だが、当の加藤は・・・、


「わぁ〜っ、ぁ・・・」

「「「「「「!?」」」」」」


 と、6人に向かって大欠伸を飛ばしてきた。


「ーーーどしたん、みんな? こんな時にケンカなんかして。何を揉めてんだ。怒んないから言ってみろ・・・って、アレ? つぅか、ぇ?? 俺、身体(かる)ぅ!?」


 いつの間にか、身体から痛みが消えている事に気がついたら加藤は、バッ と立ち上がり、ぐぐぅ・・・っ と伸びをする。


「ーーー・・・っ。くはっ。あー・・・なんか知らんが、身体が軽くなってる」


 そのまま、ぐいん ぐいん と腰を回してストレッチを始めた加藤。


「つぅか、アレ? みんなどしたん? ボロボロでケガまでしてんじゃん。まさか、ケンカで殴り合いでもしてたのか? たくっ、、もぉーっ! んな暇があるならさっさと逃げろよなぁー! 今、一応 非常次だぜ・・・たくっ、俺が必死で戦ってる時に・・・ぶつぶつぶつーーー、あ! そもそもアルフレッドは?」


 加藤は、きょろきょろ と辺りを見渡す。その間、「うわっ! なんだあのデカい巨人? タイタン? スゲー」などと、四門(しもん)が創り出した30メートル超ある巨人に驚いたりもしている。

 そんな、先ほどまで死にかけていた事も忘れて、能天気に元気に騒ぐ加藤を前にーーー、


「ーーーなぁ、シャノン。こいつ殴っていいか?」


 五島(ごとう)の怒りの沸点は、過去例を見ない上昇値を記録する。


「落ち着ケ、ゴトウ。せっかく復活させたんだかラ」


 拳を振り上げた五島を咄嗟にシャノンが止める という騒ぎもあったが、とりあえず、加藤は仲間 6人のおかげで 復活を果たした。




***************




 加藤が復活した瞬間ーーー、


「ーーー!」


 アルフレッドの鋭敏な魔力感知が、その事実を すぐさま彼に伝えた。


「・・・加藤 兵庫(ひょうご)の魔力か!?」


 流れ星のように高速で空を駆りながら、アルフレッドは地上の一点に目を向ける。高速で移動する中、遠くの地上に居るであろう1人の人物を見つけるなど、常人の視力では到底不可能だ。

 だがしかし、《肉体強化(フィジカル・パワー)》で強化されたアルフレッドの双眸(そうぼう)には、しっかりと地上に立つ加藤の姿が捉えられていた。


「ーーー見つけた!」


 その瞬間、地上にいる加藤へ高速で接近するアルフレッド。

 だがしかし、アルフレッドの目の前に居座る30メートル超の土塊巨人(ゴーレム)は、当然、彼に道を譲るほど優しくはない。


「ーーーっ!!」


 刹那、進行方向にいくつもの礫が飛んできて、アルフレッドは動きを止める。行く道を防いだのは、土塊巨人(ゴーレム)の身体から高速で吹き出された瓦礫や石たちだ。

 その威力は、強力かつ高速な上、魔力耐性も帯びている。

 アルフレッドと言えど、直撃したら肉体が抉られるほどのダメージを喰らう攻撃だ。


「チ。邪魔くさい。加藤 兵庫が見つかった以上、貴様との お遊びは もう終いだ」


 もっとも、アルフレッドの《流星(スターダス)闘技(ト・ファイト)》ならば、土塊巨人(ゴーレム)から放たれた礫など躱そうと思えば躱せる。

 だがしかし、加藤を始末するのを土塊巨人(ゴーレム)に邪魔されるのも、アルフレッドの本位ではない。

 だからこそーーー、


「ーーーその巨体に内在する高魔力ごと、暗黒の領域に消し去ってくれるわ」


 アルフレッドは、加藤を殺しに行く前に、まずは不死身の巨人を消し去ると決める。

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