第四章 -加藤 vs アルフレッド- 34 『6人の覚悟』
「ーーー方法は無いことはなイ」
「ーーー! 加藤を回復させる方法が《回復》意外にあるのか!?」
「まぁナ。かなり危険だガ、あるヨ」
ぴしゃり と言い放ったシャノンの双眸は、鋭く尖っている。まるで、命を捨てる覚悟を決めた戦士のような目だ。
そんなシャノンに 目ざとく反応したのは、《第六感》の能力を持つアゲハだ。
「・・・! ちょっと待ってシャノン。その危険なのって、兵庫じゃなくてシャノンなの?」
「はぁ!?」
「!? どういう事だアゲハ!?」
アゲハの指摘に食いついたのは斑鳩と島田の2人だ。
「ニャハハ〜・・・アゲハの《第六感》は本当に いろいろと気がつくんだナ。んマ、その通りだヨ。これから行うカトウの回復にハ、回復する側のオイラに危険があル」
「やっぱり」
「ーーーなっ!? ぇ、、どういう事だ!?」
「なんで回復する側のシャノンに危険があるんだ?」
「・・・オイラが これからするのハ、《致命傷回避》つぅ魔法ダ。本来この魔法ハ、回復魔法ではなくて致命傷・・・例えバ、首とか心臓付近に受けたダメージを身体の別の場所に移動させて即死を防ぐ魔法なんだガ・・・」
「ダメージを移動させてって・・・加藤のダメージを別の場所に移すって事か!?」
「だが、それでは意味がないだろ? ダメージを移しても、結局は加藤の身体にダメージが残ったままなら、加藤は回復しない」
「シマダとイカルガの言う通りダ。だかラ、今回ダメージを移す先ハ、カトウの身体の一部ではなク、魔法を掛けるオイラの身体になル」
「「「ーーーっ!!?」」」
シャノンの言葉に、島田、斑鳩、アゲハの3人は息を呑み込んだ。
「兵庫のダメージを肩代わりするって事!?」
「ーーーちょ、、、と待て! それなら、今度は・・・っ」
「アァ。カトウに変わっテ、今度はオイラが瀕死の重症になるナ」
淡々と言い放ったシャノンは、横たわる加藤の腹部に手を置いた。
「ーーーだガ、今の状況下でカトウを動けるようにするにハ、この手しか無イ」
「ちょ、、ダメだよ! そんな事したら、今度はシャノンが死にかけに・・・ッ」
「アゲハ、さっきも言ったロ。今のカトウを ちまちま《回復》で回復しても焼石に水ダ。すぐにカトウを動けるようにするにハーーー、誰かがカトウのダメージを引き受けニャならン」
「・・・でも」
食い下がるアゲハだが、シャノンの覚悟は変わらないようだ。
だが、そんな時ーーー、
「いきなりで悪いんだけどさ・・・」
今まで黙っていた五島が口を開いた。
五島は、ふてぶてしく腕を組みながら、横たわる加藤と、その隣に座り込むシャノンを交互に見る。
「シャノンが引き受ける そのダメージってさ、他の人間に分け与える事は出来ないの?」
「ーーー!?」
「今の加藤のダメージをシャノン 1人が肩代わりするのは危険だろうけど、ここにいる・・・6人。みんなで均等に加藤のダメージを引き受けりゃ、瀕死にまでなる奴はいないと思うけど?」
「そリャ、できるはできると思うけド・・・」
「だったら、そうしたらいいんじゃない?」
あっけらかんと言い放った五島に、シャノンは数秒ほど固まる。
そして、思い出したかのようにーーー、
「ィ、いやいやいヤ・・・ちょち待テ。お前ら子供ニ、そんな危ない事やらせられるかヨ」
無茶を言う五島を諭す。
だがしかし、五島にシャノンの言葉は届かなかったようだ。「ふぅ」と煩わしく嘆息をひとつ吐いた五島は、心底面倒くさそうに言葉を返す。
「私からしたら、シャノンの方が危ない事してると思うけど? つぅかさ、こんな戦場みたいな場所にいる時点で、危ないもクソもないじゃん」
「ゥ・・・ッ」
「ちょ、、どないしたん、ルアンちゃん? しもっち以外に身ィ削るなんて、ルアンちゃんらしく無いやん」
「別に・・・私の《必中》の能力じゃ、魔道士なんてバケモノに敵うわけないからね。戦いで役に立たない以上、他の事で役に立っといた方がいいじゃん。死ぬ気で戦った奴に、後で文句言われてもムカつくしさー・・・」
面倒くさそうに それらしい理由を並べる五島。きっと、これは彼女なりの優しさなのだろう。
仲間のために意気揚々と戦場に足を踏み入れたが、レベルが違いすぎて役に立たない・・・そのジレンマを解消する手段なのだ。
どうやら、その事は 隣にいた志摩 海にも伝わっていたようだ。
「ルアンちゃん・・・相変わらず、ツン9.8対デレ0.2の生粋のツンデレやね」
「バッ・・・ちがわい! 加藤が復活しなけりゃ、このまま四門が魔道士と戦わなきゃいかないだろ!! んな 貧乏くじ、四門に押し付けられねぇから言ってんだ!」
「それ、別にヒョーゴンのダメージみんなで分ける理由にはならへんと思うけど・・・」
「うるせーぞ! 海、コラァ!!」
「うげげ・・・っ」
海の首を絞めて、黙らせにかかる五島。
その光景を見たシャノンは、絶対絶命の状況下で張り詰めていた心が、少しばかり軽くなるのを感じた。
「ありがとヨ・・・ゴトウ」
シャノンは、ぽつり と感謝の言葉を漏らすと、加藤を取り囲むように立つ 5人に それぞれ目を向けた。
「オイラ モ、今ゴトウが言った手なら比較的 安全にカトウを復活できると思うシ、オイラとしても それはありがたイ。みんなの中デ、ゴトウの提案を受け入れてくれる奴は挙手してくレ。オイラを通じテ、カトウのダメージを均等に分け与えル。もちろン、嫌なら嫌でいイ。強制はしねぇシ、後で責めたりはしなイ」
ぴしゃり と言ったシャノンの言葉は、その場にいた5人の島田、斑鳩、アゲハ、五島、海の耳に伝わりーーー、そして心を動かした。
「・・・全員カ」
場にいる5人が、全て手を上げたのだ。
「ーーーカトウ・・・いい仲間を持ったナ。これもお前の“力” だゼ」




