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転生してもエンジニアだった3 ~神様の気まぐれで異世界で人間やめちゃいました。亜龍種兄弟で始まる異世界生活~  作者: 来須奏


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1話 神「多分それが仕様だから!」

ここは、アルヴェリア王国。

その中心にそびえる王城の中庭である。

「スゥ……スゥ……」

「聞いたか? 星読みの巫女様が、神龍様の顕現を予知されたとか」

「スゥ……スゥ……」

「聞いた聞いた。それと同時に、邪龍に似た者も顕現したらしいぞ」

「確か神話では――雪よりも白き鱗を持つ亜龍種と、夜よりも深き鱗を持つ黒き亜龍種……だったよな」

「ああ。神話の時代以来、一度として現れていないという――」

「スゥ……スゥ……」

「…………」

「…………」

「で、だ」

兵士の一人が、先ほどから聞こえている規則正しい寝息へ意識を向けた。

「誰だよ。こんな昼間からすやすや寝てるのは……」

「あれじゃね?」

「ん?」

中庭の庭園。

その一角にある、陽の光がよく当たる場所。

そこに、一人の男が寝転がっていた。

陽光を反射する、雪のように白く美しい鱗。

白銀の長い髪。

頭部から伸びる角。

そして身体の横には、人間には存在するはずのない長い尾。

「…………」

「…………」

「曲者か?」

「城内の人間ではないな。客人……か?」

「いや、待て」

一人の兵士の顔から、みるみる血の気が引いていく。

「白い……鱗……?」

「…………え?」

「まさか」

「…………神龍様?」

「お、おい!!」

兵士が叫んだ。

「大臣を呼んでこい!! 今すぐだ!!」

その騒ぎで、ようやく男の瞼が動いた。

「ん……」

ゆっくりと青い瞳が開く。

「……騒がしいですね……」

身体を起こしながら、大きなあくびを一つ。

「ふあぁ……」

そして周囲を見回す。

「…………あれ?」

見知らぬ庭園。

見知らぬ城。

見知らぬ服。

「ここ……どこ?」

自分の身体へ視線を落とす。

「…………この服、何です?」

何かが視界の端で動いた。

「…………ん?」

もう一度動く。

「…………しっぽ?」

意識してみる。

尻尾が右へ動いた。

「…………」

左。

動く。

上。

上がる。

「…………え?」

恐る恐る自分の腕を見る。

「鱗……?」

頭へ手を伸ばす。

硬い何かに触れた。

「…………角?」

沈黙。

「…………」

もう一度、尻尾を動かす。

ぶん。

「…………」

ぶんぶん。

「僕、どうなってるの?」

兵士たちは何も言えなかった。

「いや……待ってくださいよ」

男は自分の頬を触る。

腕を動かす。

指を握る。

脚を動かす。

そして立ち上がった。

「普通に動く……」

数歩歩く。

何の違和感もない。

「…………」

男――榊イクトは、ますます混乱した。

「榊イクト……ですよね? 僕」

自分を指差す。

「うん。イクトです」

当然である。

「現代社会に生きていたはずなんですけど……」

周囲を見渡す。

石造りの城。

鎧を着込んだ兵士。

見たこともない庭園。

自分の身体には角と鱗と尻尾。

「…………ここ、コスプレスタジオですかね?」

兵士たちが顔を見合わせた。

「いやいやいやいや」

イクトは自分の尻尾を掴もうとする。

逃げるように尻尾が動く。

「コスプレにしてもクオリティえぐいって」

もう一度動かす。

ぶん。

「なんで尻尾が思い通りに動くの!?」

ひとしきり自分の身体を確認し終えたところで、イクトは頭を抱えた。

「…………意味が分からない」

兵士の一人が呟く。

「……何してるんだろう、この人」

そこへ。

「神龍様ああああああああああ!!!」

城の奥から、豪華な衣装を身にまとった老人が猛烈な勢いで走ってきた。

「おお!! まさしく!!」

「?」

「伝承に残された純白の御姿!!」

「??」

「神龍様ではないか!!」

イクトは首を傾げた。

「……神龍SUMMER?」

大臣が止まった。

「…………はい?」

「夏?」

「…………」

イクトは、その後ろからぞろぞろと現れる人々を見る。

「おぉ……」

王城の重臣。

宮廷魔導師。

神官。

護衛騎士。

この国でも指折りの人間たちである。

だが、そんなことを知るはずもないイクトには――

「奥からコスプレ集団が……」

「神龍様」

「はい?」

「先ほどから仰っている――」

大臣は困惑しながら尋ねた。

「『コスプレ』とは、何でしょうか?」

「…………」

イクトの動きが止まった。

「…………え?」

ようやく。

ほんの少しだけ。

嫌な予感がしてきた。

「えっと・・・ここは何処でしょう・・・」

アルヴェリア王国首都テレスにある王城でございます。」


奥から新たに現れた神官と思わしき男性が一言。

「おぉ神よ・・・なんと神々しい・・・」

「あ、リュウジンって龍 ”神”か!?僕神なの!?」

遅れてやってきたメイドが大臣っぽい人に耳打ちする

「客室の用意が完了しました。」

「ちょっとああなたたち!!!持ち場に戻りなさい!メイド長が怒ってましたよ!」

その言葉を聞いたメイドの顔色が一気に悪くなっていく。

「龍神様・・・客室の用意が出来たそうですのでこちらへ。」

案内されてはいった部屋には近衛騎士が二人立っていた。僕の護衛らしい。

案内されてやってきた部屋は大きな天蓋つきベッドも置かれた。大きな部屋だった。手前側には大きなソファーとテーブルとその上には小さな鈴が置かれている。大臣っぽい人は調度品の簡単な説明をしてから宰相を呼んでくると言って。部屋を出て行ったテーブルの上の呼び鈴は飲み物が飲みたいなどの用があるときに鳴らしてよいとのことだった。イクトは部屋にある大きな姿見鏡で改めて自分の姿を確認した。いつも自分の顔をした亜人の段っ性が立っていた。「うーー凄く性癖ですねー神様何かしました?」


「ごっめーん! 手元狂っちゃって、君の願望ぜーんぶ適用しちゃったー☆」


「…………全部?」


イクトの顔から表情が消えた。


「全部」


「…………」


ズ……


無言でズボンの中を確認するイクト。


数秒後。


「…………あった」


「うん。グングニルだね」


「誰が神槍を実装しろと言った」

神、願望設定ファイルを `SELECT ALL → APPLY` しやがった。

神は首を傾げた。


「これ交尾できんの?」


「実装した側が疑問形になるな!!!!」

「…………あれ?」


イクトは固まった。


「まだ何かある……?」


恐る恐る再確認。


「…………」


「………………」


「男の子の下に女の子があるんですが!?」


神「あっ」


「『あっ』じゃない!!」


神「両方の願望が競合せず正常に適用されたみたい」


「排他制御しろ!!!!」


神「というわけで、両性具有の龍種男子、爆誕!」


「ロールバックしてください」


神「できない☆」


「本番環境でトランザクション張らずにUPDATEしたのか!?」

「やったね! ママにもパパにもなれるよ!」


「…………」


イクトは無言で神を見つめた。


「何その顔」


「いや、まず確認なんですが」


「うん?」


「両方とも生殖機能まで実装したんですか?」


神「もちろん!」


「もちろんじゃない」

「だって行けたんだもん!」

「あの。 殴っていいですか?」


イクト君こーーーーわーーーい!

「白いボぼやけたシルエットでクネクネされても怪異にしか見えないで辞めてもらえますか」

《フルスタック生殖系エンジニア》

《♂サービス:Running》

《♀サービス:Running》

《「ヘルスチェックALL GREEN!」

「今すぐ片方systemctl stopしろ」

「自動復旧します」

《最悪のHA構成で草》


なんかコメントみいなのが脳裏をちらつくんですけど。

「ああ!君のリスナーの分体達君だよ」『あっち』でも君が何してるのか見たいってー愛されてるねー」

「……ちなみに、この身体の性別って結局なんなんです?」


「イクト」


「性別欄に固有名詞を書くな。」

「あ、そうそう。君の肉体の方は寝かせとくね。起きたらベッドの上だから」

「…………はい?」

「こっちで話してる間、突っ立ったままだと不自然でしょ?」

「いや、それはそうですけど……勝手に寝かせられるんですね、僕」

「大丈夫大丈夫! ちゃんとベッドまで運んでもらったから!」

「誰に」

「近衛騎士」

「…………」

「すっごい緊張してたよ」

「でしょうね!! 神龍とか呼んでる相手が突然意識失ったんだから!!」

「寝てるだけだからヨシ!」

「ヨシじゃない。」


「こっちでは神龍の血族ってことになってるから! 身辺は国を挙げて守られてるから安心して!」


「待ってください。『なってる』って何ですか」


「じゃーねーー!」


「待て」


「細かいところは自分で考えてな!」


「待てって」


神の姿が徐々に透けていく。


「多分それが仕様だから!」


「『多分』で仕様を確定するなぁぁぁぁぁ!!」

神「まあどうせ何千年も生きるんだから、なんんとでもなるっしょー。」


目を開ける。

豪華な部屋。


>

ベッドの周囲には近衛騎士。

>

扉の外にも近衛騎士。

>

窓の外を見る。

>

王城。

>

「……」

>

角、ヨシ。

>

翼、ヨシ。

>

尻尾、ヨシ。

>

鱗、ヨシ。

>

身体仕様――理解不能。


豪華な部屋。

「あれ? 僕、寝てました?」

「はい。とても気持ちよさそうに」

「そうですか……」

「…………」

「?」

「あ、あの……神龍様」

「はい?」

騎士は、イクトの背後でゆらゆら動く純白の尾を見つめていた。

「あの……その……あの世へ行っても構いませんので……」

「なんで命懸けなんです?」

「そのご立派な尾を、触らせていただけませんか……?」

「? いいですよ?」

「宜しいのですか!?」


ベッドの周囲には近衛騎士。

さわ……。

「…………」

さわさわ……。

「おお……」

さわさわさわ……。

「おおおおおおおおおおおお!!」

「!?」

「やったああああああ!! 神龍様の尾!! 触らせてもらっちゃったああああああ!!!」

「そんなに!?」

「ん゛ん゛!!」

背後から、低い咳払い。

騎士の動きが止まった。

「君は一体、何をしているのかね……?」

「…………」

ぎぎぎ、と騎士が振り返る。

「宰相……!!」

「勤務中だぞ」

「大変お見苦しいところを……」

「見苦しいという自覚はあったのですね。」

「別に僕が許可したのでいいんじゃないですか?」

「神龍様!!」

「庇わないでくださいませ!! こやつが調子に乗ります!!」

宰相の向こう側からこちらを覗く顔に「いいなあとい書いてあって笑いそうになる。」

「近衛騎士は慌てて僕の尻尾から手を離し、姿勢を正した。

「勤務中だぞ。しかも神龍様に対して、なんという――」

宰相のお説教が始まる。

「まあ、僕が許可したんだから別にいいんじゃないですかね。」

そう思いながら眺めていると――

「…………」

宰相の向こう側。

その肩越しから、もう一人の近衛騎士がこちらを覗いていた。

正確には。

僕の尻尾を見ていた。

「…………」

ものすごく見ている。

顔に、

『いいなぁ……』

と書いてある。

「…………っ」

危ない。

笑いそうになった。

宰相は至って真面目な顔で説教を続けている。

その向こうでは、近衛騎士が僕の尻尾と、先ほど触った同僚を交互に見ている。

『いいなぁ……』

「…………ふっ」

「神龍様?」

「い、いえ。なんでもありません」

ダメだ。どうしても目に入る

見ないようにしよう。

「まったく、神龍様の御前で――」

ちらっ。

『いいなぁ……』

「…………っ!」

ダメだこれ。

あ、宰相気づいた。


「神龍様。陛下がお目覚めを心よりお待ちしておりました」


「皆さん神龍様と呼んでますけど・・・・僕の事ですよね?」


「はい。この国では三百年ぶりとなる神龍の御血族です。御身については国家最高機密として――」


「ちょっと待ってください」


「はい?」


「僕、自分が何者なのかあなた方より知らないんですが。」


《チュートリアル担当がログアウトしました》

《README.md:404 Not Found》

《神「動いたからヨシ!」》

《国家「絶対にお守りします」イクト「まず僕から僕を守って」》

《三周目、開始5分で国家重要人物》

《なお本人は尻尾のしまい方すら知らない》



――とある日のSNS。


《なんか最近、主が異世界に飛ばされて人間やめてるの眺めながら、コメント打ってる夢を見るんだけど。》


《同じく。》


《え?》


《俺もなんだけど》


《白い髪で角と尻尾生えてない?》


《生えてる》


《待て》


《俺の夢だと神龍SUMMERとか言ってた》


《同じだわ》


《なんで夢の内容共有されてんだよ》


《集団幻覚?》


《昨日は尻尾触られてた》


《見た》


《俺も見た》


《…………》


《いや待って》


《これ本当に夢か?》



――――同時刻。


【急上昇トレンド】


1位 主世界転生

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