表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
88/93

096●洪水伝説

クドーとともに、‘ノアの方舟’伝説に関するデータも確認する。

人類の地球での記憶の奥底には、ある共通の恐怖が刻まれている。

それは「水による破壊」——すなわち、洪水である。

ノアの方舟、ギルガメシュ叙事詩、インドのマヌ神話、中国の大禹治水伝説。

文化も地域も異なるにもかかわらず、

これらは驚くほど似通った「大洪水」の物語を語っている。


なぜ、これほどまでに洪水が普遍的な神話となったのか。

その背景には、氷河期の終焉に伴う急激な水位上昇が

あったのではないかという仮説がある。

最終氷期が終わりを迎え、氷河が溶け、海面は世界的に上昇した。

かつて陸地だった場所が次々と水没した。


特に注目されるのが黒海である。

かつて淡水湖だった黒海は、地中海の海面上昇により、ボスポラス海峡を通じて海水が流入。

研究によれば、このとき黒海の水位はわずか1年足らずで100メートル近く上昇し、

沿岸の広大な土地が水没したという。

このような急激な環境変化は、当時の人々にとってまさに「世界の終わり」に等しかっただろう。

家族を失い、村を失い、生活の基盤を奪われた人々は、

その体験を語り継ぎ、やがて神話として昇華させたのではないか。

科学が明らかにする地質学的事実と、神話が語る象徴的真実。

それらは、ここで交差する。

洪水伝説は、単なる自然災害の記録ではない。

それは、人類が自然の力に対していかに無力であるかを認識し、同時にそこから再生しようとする意志の物語でもある。


「つまり、洪水は実際にあり、それが人類の記憶に留められたということか。」

「そうですね、艦長。しかし、それと今回の惑星の木造建造物と関係は・・・。」

「ないだろうなあ。」

「あれば面白いのですがね。」

「クドーは、そういうのが好きだからな。」


ふたりは笑いあう。出航が迫っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ