071●あったかいシャワー
「うーん、それはもう、ほぼ一択ですね。」
「わたしもジンさんに賛成です。」
「第2のスミスはクローン人間ってこと?そんなこと、できるの?」
「できたとしても、だ。記憶はどうなる?前にココアについて話していた’魂’みたいに、脳の記憶を移植できるのか?」
「クローン技術のヒトへの応用は可能です。しかし、アキラさんの言うように、脳神経データの完全な移植は現在の技術では不可能です。後天的な学習や、情報の逐次アップデートで補うしかありません。」
「じゃあ、ジン、わたしたちがあったスミスは、確かに亡くなっているってことでいいの?」
「そうです。ただし、旧スミスの信念を同じように新スミスも学習して保持しているとすれば、その行動のベクトルは同じになりますね。」
「旧態依然の格差社会や古い制度を排除するってことか。人ひとりがあの世にいっちまっても、受け継ぐヤツがいるってことだな。」
「スミスは、もともと宗教団体のトップでしたからね。どのみち‘弟子’たちが‘信念’を繋いでいく可能性はあります。加えて、‘復活’したとなれば、信奉者も信仰を強めるでしょうし、信者も増えるかもしれませんね。」
「今回の狙撃は、ブリッツの仕業なんじゃないの?なんで雇い主を撃ったのかなあ?」
「わからん。だが、新スミスが存在する、と知ったらブリッツはどうするだろう?」
「オオガミさん、それはブリッツが新旧スミスを同一人物と見なすかどうか、ということですね。」
「まだ、イヨさんのガードは必要ですね。局長に念押ししておきましょう。」
「いいねえ!俺、あの村での生活、気に入っているんだ。野生が目覚める!」
「不便よ、あそこ。ジン、なんとかならないの?」
「インフラの改善は地方行政とセキュリティ・コアで協議中です。住民の意思を尊重しながら、改善していきますよ。」
「わたし、村でもここでも、始めた’日の巫女’の修行はできるけど、やっぱりねえ・・・。便利なほうがいいなあ。」
「わたし、あったかいシャワーがないと生きていけな~い!ジン、頼んだわよ!」
「はい、はい、イヨさんとエイミーさんのご意見、承りました。」
ジンのやるべきことは、ますます増えていくのだった。




