070⚫️憶測の段階
「それでDNAは回収できたんだな。」
「ええ、だけど‘生きている方’のスミスの検体はないのよね。比較検証できないわ。」
「棺桶に入っていた‘スミス’と別行動をしていた‘スミス’か。後者の足取りはどうなんだ?」
「追っているわ。でも、周辺の防犯カメラなんかは、みんな肝心なところが消去されているの。」
「国外に出た可能性はないのか?」
「プライベートジェットが何機も飛んでいるわ。同じくどの映像も消えている。」
「国内にいれば、目撃があるはずだ。彼の部下や法人のメンバーは見ていないのか?」
「ジョン様は復活された、救世主が現れた、新しい世界を創るお方だ・・・って、そんな調子よ。」
「平和な現状をぶっつぶそうと動いているのに、何が救世主だ。」
「神殿で商売をしていた者たちに対して、怒りを示し、商人の台をひっくり返し、鞭を使って追い出した、っていうのより、遥かに物騒よねえ。」
「制度や腐敗に対する批判なら、説得と納得で解決してほしいものだ。まあ、わたしたちの仕事も、現状維持のために物騒なことをしているのには、変わりはないがね。」
「スティーブのチームに、国外の線を洗わせているわ。」
「了解した。第2のスミスがこっちに現れないか、網を張っておく。動きがあればすぐに知らせる。」
「最後に重大情報よ。第2のスミスに会った一般人が、ちょっと引っかかることを言ってるの。」
「なんだ?」
「‘スミスさん、元気そうで、まるで若返ったみたいだった’、って。」
「・・・それって、つまり・・・あれか?」
「かもしれないわね。まだ憶測の域を出ないけど、ね。」
「わかった。ラボとも情報共有をする。次の定時連絡で、わかったことがあれば報告しよう。・・・女神、情報提供にクライマックスはいらないぞ。」




