064●歴史は繰り返すとしても
ブリッツには、時に政府関係者からも依頼がくる。
今、彼が注目している人物がいる。
それが、あの大国のスカンク大統領だ。
自国最優先を掲げるスカンク大統領は、司法と立法を、彼はその掌に収めた。
これは、いわば独裁体制である。
古代ローマ帝国で、かのユリウス・カエサルが
民主政から帝政を目指したことと似た過程である。
カエサルが活躍し、民衆は歓喜した。
カエサルが凱旋門を通ったとき、大勢が彼を賛美した。
カエサルが暗殺されたとき、暗殺者たちが期待したようには民衆は動かず、
だれも暗殺した元老院議員に味方しなかった。
大衆はカリスマな指導者を渇望していたのだ。
歴史を振り返ると幾度となく、為政者たちは民衆を操ってきた。
悪いのは旧態依然のシステムだ、既得権益にあぐらをかくヤツラだ、
不正蓄財をしている連中だ、外国が悪い、他国が攻めてくる・・・と。
正確な知識を民衆が持ち得ることは、むずかしい。
マスコミは視聴率があがることしか報道しない。
個々人が発する情報は、玉石混交で虚構であるものも多い。
統計は数字の解釈で、いかようにも引用される。
こうして、民主政治と王政は交互に現れる。
ただし、今の我々は、
例えばガンジーの思想を体系化したジーン・シャープの著作を読むことができる。
自分で納得して投票することもできる。
信じる企業に投資することもできる。
もし、歴史が繰り返すというのであれば、
過去の偉人にはなれずとも、小さな一雫にはなれるかもしれない。
それが大河の流れに繋がることを、この世界線のわたしは知っている。




