034●それは運次第
ブリッツの右脚には、密かに仕込まれた5連発のリボルバーがある。
だが、それに手を伸ばす暇はない。4人の敵が、間違いなく先に動く。
格闘戦になる。正面には、あの女。
その背後に、髪の長い少女。
右には、謎の礫を放った若い男。左には、荒っぽい雰囲気のヤツ。
ブリッツは、挟撃を避けるため、一番倒しやすそうな右の男から始めると決めた。
「ジン、どうしてこんなところで手分けするんだ?」
「前回の狙撃は3kmからでした。凄腕です。常識的に考えれば、限界距離でしょう。」
「だったら、もっと近くのビル群に絞ったほうがいいんじゃない?」
「いえ、エイミーさん。半径3km以内で、囮のメカロイド‘イヨ’の部屋を狙える射線はありません。」
「じゃあ、部屋に侵入して近接からの暗殺だろ。飛んで火にいる、ってことだな。ここは4kmも離れているんだぞ。」
「でも、オオガミさん。直線距離で最適に狙えるとしたら、このあたりのビルです。理論上、狙撃可能な銃は制作可能です。」
「うーん、ココア、俺には火器のことはよくわからん。どうすりゃいい?」
「つまり、近場は他のエージェントに任せて、私たちは遠距離の狙撃ポイントをカバーするってことね。」
「そのとおりです。ココアの計算では、狙撃可能な地点は全部で3箇所。ひとり1箇所を担当し、逃走ルートも想定して待ち伏せます。」
「狙撃ポイントは衛星経由で私がキャッチします。特定次第、集合の連絡を入れます。」
「わかったわ、ココアちゃん。誰が一番先に着くか、競争ね!」
「いや、それは運次第だろ?」




