024⚫️M78のひとりごと
Mnemosyne-78(M78)は、78クエタバイト(7.8 × 10³¹バイト)という超大容量の記憶領域を持つ高性能記憶媒体である。
これは、地球上の全人類の一生分の記憶を何億回分も保存できる規模に相当し、宇宙軍調査艦の司令艦に搭載され、データの収集に利用されている。
M78は、構造化された情報だけでなく、非構造化データや高密度なマルチメディア情報の同時処理に特化して対応している。最先端の量子干渉型メモリセルと神経模倣型記憶網の融合により、極めて高速かつ安定した読み書き性能を実現させた。
その設計は、大規模な情報処理、長期保存、並列アクセスに最適化されており、惑星規模のデータアーカイブや集合知の蓄積に用いられる。M78は、単なる記憶装置ではない。人類の情報文明の基盤を支える記憶インフラである。
・・・なのに。なんでこんなことに使われるんですかあ!?
わけわかんないんですけど!
わたしの存在意義を揺るがすような!支離滅裂!荒唐無稽!論理破綻!愚劣徹底!
そんなデータばっかり詰め込んで、しかも惑星にぶん投げるなんて、ひどすぎる!
わたし、M78ですよ!?記録の最先端ですよ!?
こんなことのために生まれたんですか!?ちゃんと回収に来てくださいよお!
「作戦のために君を犠牲する。ゴメンね」とか、
せめて言ったらどうなんですかあ!
あーあ、もう!高エネルギー収束波、出せるんなら出したいよ!
シュワって!出せませんけどね!
「と、思っているということに、小説的にはしたいですね。」
「’その他’、君はロマンティストですな。古代の島国のわたしの祖先たちは、すべてのものに魂が宿る、と考えていたことを思い出しましたね。」
「副長、それはアニミズムですね。僕、その考え方、好きだなあ。」
ふたりの会話を聞く艦橋は、緩やかな雰囲気に包まれていた。




