014●記録の惑星
艦内時間20分が経過し、新しい走査データがスクリーンに表示された。
「生命反応あり。確かに存在します。これは・・・無数にいます。」
クドーが声を潜める。
「反応は広範囲にわたっており、まるで惑星全体がひとつの生命体のように蠢いています。連携しているようです。」
「集合意識体か?」
「ええ。しかも、反応は探査機の電磁波に対して、同期するように変化しています。まるで、こちらの存在を’認識’しているかのようです。」
その時、艦内の照明が一瞬だけ揺らいだ。
‘その他’が叫ぶ。
「艦長!僚艦3号が、探査機からのデータを受信した直後に、自律制御系がヘンになってます!あっ、勝手に動いてる?!外部から操作されています!」
「何だと?艦を制御する人工知能の防壁が破られたのか?」
調査艦隊の自律艦は、戦闘艦隊のそれとはちがい、スタンドアローン型ではない。
それでも、幾重にもハッキングへの防壁が巡らされているのだが。
「未知のプロトコルで自己再構築を始めています。艦内ログに、いくつものファイル群が生成されています。」
‘もひとつ’がスクリーンを操作し、ファイルの一部を開いた。
「これは・・・100年前の漂流者ハリーの記録です。彼の見たままの映像もあるの?!語られなかった記憶が、ここに?」
「僚艦のデータが流出しています!惑星の砂の下の何かが受信しています!」
「ゼルダンの砂は、記録を共有するのか?惑星全体が、記憶の保管庫であり、意識の集合体なのか・・・?」
「このままでは、我々も吞み込まれ、制御不能になるかもしれません!」
「全艦に警告。ゼルダンはただの資源惑星ではない。これは、知性を持つ記録の海だ。慎重に進め!」




