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ネガティブな僕と、中二病っぽい彼。  作者: ホワイト大河
第二章 知らなくたって、いいんだよ
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どーでもいーじゃん(2)


「うのぽんおっはよお❤のがみん今日も最高に元気だよお!」

「ハロハロー。良かったじゃん。」

「ちょっとお、うのぽんいつも以上に冷めてるう!」


場違いなテンションで俺を迎えたのは、

見た目はツインテールでそこそこ可愛く、中身は残念な腐女子、野上結衣。

BLの情報収集をするべく勝手に寄ってくるため、

もっぱら俺の話し相手になっている。


「はい!うのぽん先輩!のがみんまたまた情報集めてきましたあ!いま最もホットな話題、テル君と洋次君についてでえす!」

「へー。」

「二人が別れちゃったのは周知の事実だと思うけどお、当のテル君はそんなに傷ついてないみたいなんだあ、意外だよねえ。」

「テル君のポーカーフェイスなんて今に始まったことじゃねーじゃん。ってかのがみんあんま詮索やめた方が良いんじゃね?」

「ひどい!のがみんから生きがいを奪わないで下さいい!」

「いい趣味してんじゃん。」


のがみんはBLの匂いを嗅ぎつけて軽音楽部に入部し、

織田と奥野の間に漂う謎の距離感や、テル君と住田の情報、

さらには達也のお相手まで、広く深く詮索を続けている。

最近はあまり腐女子である事を隠さなくなったらしく、

余計に行動が大胆になった事もあって、煙たがられることも多い。


……実際はそんなに悪い奴ではないが。

少なくとも空気は読めて、なるべく物事を上手く運ぼうとする奴なんだし。


「ってかうのぽん、体育祭の時なんか機嫌悪かったあ?のがみんが話しかけても超そっけなかったよねえ。」

「別にそんなことねーじゃん。」

「ええ、嘘お?のがみんの洞察、間違ってないと思うけどなあ。」



やたらと体育祭の時の、俺の異変に触れてくる人間が多いのはなぜだろう。

それほど自分の様子がおかしかったという事なのだろうか。

……あの時は夢見が悪く、そのいら立ちを「奇跡の子」に向けようとした。

だが、もう体育祭は終わった。それで終わりにしていいはずだ。

たとえ今でも、悪夢が続いているとしても。


「別になんでもねーじゃん。なんかあったとしても、もう一昨日の事だし、忘れた。大したことなかったんじゃね?」

「そお?でもなんか変なのよねえ……」


正直これ以上首を突っ込まれるのは厄介だ。

あとはのがみんの質問を適当に流して、気ままな世間話でもすることにした。



  ○   ○   ○   ○   ○   ○



聞き慣れたチャイムと共に、英語の授業が終わって、昼休みに入る。

俺はのびをしてから席を立ち、ふと辺りを見渡した。


「よう剛司。たまには一緒に飯食おうぜ。」


ふいに横から、俺の肩に腕を回してきたのは達也だった。

前回のテストで数名の生徒が成績別Bクラスに上がってきて、

その真面目な生徒の中には達也と恒太が居た。

俺が答える間もなく達也は後ろの方に居た恒太を呼び寄せた。


「おい恒太、お前も行くぞ。」

「あ、はい……」

「俺まだ行くとも行かねーとも言ってねーじゃん。」

「うるせ剛司てめえコラ。達也様に付き合うんだよ。まったく。」

「すげー圧政じゃん。」


達也と普通に受け答えをしているのを見て、恒太は嬉しそうな表情をしていた。

恒太の変な心配性は今に始まったことでは無いから、特段気にも留めなかった。


「ねえそれ、のがみんもついて行っていいかなあ?」

「お、珍しいな野上。良いぜ。」

「やったあ!長瀬くんありがとお❤」


俺たちが三人揃うと、いつもは遠巻きから様子を伺っている野上が、

この時急に輪の中に入って来たのは意外だった。

が、元々軽音部で顔見知りの達也が断るはずもなく、

そのまま俺たちは四人で食堂へと向かった。



「で、剛司、あれなんだったんだよ?」

「……あれって?」

「体育祭の時の。なんかお前、感じ悪かっただろ。」


達也にまで訊かれるとは……俺もよほどの態度だったらしい。

が、そもそも達也が、狙いすましたかのように俺を飯に誘った時点で、

あの体育祭の事がこいつも気になっているんだろうなとは予想がついていた。


「なんかみんなに訊かれるけど、別に何でもねーじゃん。ただ俺なりに悔しかっただけじゃね?もう覚えてもねーし。」


俺はハンバーグ定食のハンバーグを、そのまま口に頬張ろうとする。

一方で恒太は、丁寧にそれをナイフとフォークで食べているのが印象的だ。

よく豚豚言っている恒太だが、自分で言う程太っている方ではないと思う。


「ど、どうしたんですか僕の事見つめて……あ、死霊見えました?それは毎日憑いてます。」

「ネガティブすぎじゃね?」

「しっかし剛司、食べ方豪快だよな。家で何も言われなかったのかよ?」


何気ない達也の質問に、俺は固まりかけた。

……両親と一緒にご飯なんて、もう何年も食べていない。

俺はいつもの表情をしながら、淡々とした様子を繕うので精一杯だった。


「放任主義だったし。別に言われねーんじゃね?」

「そうか。そういや剛司の家族のことって全然聞いた事なかったな。」

「……俺だけじゃなくて、みんな普通知らねーんじゃね?」

「剛司、お前兄弟や姉妹いるのかよ?」

「姉ちゃんがいるよ。」

「お、姉ちゃんか……ケッ、うらやましいぜ。」

「意味不明じゃね?」


達也の特に意味はないであろう質問に、俺は何とか答えた。

それからまた達也が何かを聞いてくるような素振りをみせたその時、

恒太が何やら慌てた様子で口火を切った。


「そういえば僕、現国の漢字テスト勉強、全然してないんでした★急いでやんなきゃ……」

「お、そうか俺もだわ。恒太、範囲写させてくれ。」

「はい、それなら早く食べないとですね!ひどい点数を取ったら日比田先生に処刑されます★」


そう言ったかと思うと、急に恒太と達也は食べるペースを上げて、

それから俺たちのことは構いもせずに、二人して食堂を出ていった。

……二人の並んで歩く後姿を見つめながら、

のんびりスパゲティナポリタンを食べるのがみんが微笑んだ。


「やっぱのがみん、あの二人付き合ってると思うなあ!それか両片想い!だって仲良すぎだよねえ!はわわわ、純情そうな二人の間にはいかなる肉体の繋がりと契りとがあるのやら❤」

「ねーじゃん。」

「あーそうやってうのぽん、のがみんに隠してるのねえ!お見通しよお!」

「別になくね?」


また面倒な事になるのか、一応二人の事は守るべきだろうな、

と息を吐きながらも、投げやりに反応する俺を見ながら、

のがみんは不思議そうな顔をして首を傾げた。



「ねえうのぽん、やっぱなんか嫌なことあった?」


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