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ネガティブな僕と、中二病っぽい彼。  作者: ホワイト大河
第二章 知らなくたって、いいんだよ
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ネガティブ・アスリート(5)


さて、体育祭が始まったとはいえ、

もちろん全ての競技に出るわけではないので、

しばらく出番があるまで直樹くんと二人、観戦することにしました。

達也さんはと言うと、早速競技に出るらしいのですが、

えーっと何ですかね、たしかリレーに出ない二年生が出る種目で……



 種目:玉入れ



う、うーん……まあ大丈夫ですよね、多分。

僕が少し心配になっていると、隣の直樹くんに顔を覗き込まれました。


「どうした?」

「あ……なんか達也さん、ノーコンだったと思うので心配で。」

「あんなの目を閉じてても入るだろ。」

「それは直樹くんだけです。僕も無理です。」

「恒太野球部じゃなかったのか?」

「僕もノーコンです★」


僕らはどうでも良い話をペラペラとしていましたが、

そういえば僕らが待機しているこのテント、

混むかと思えば意外とガラガラで、あまりにぎわってません。


「競技に出ない皆さんはどこに行ったんでしょうね……」

「委員会の仕事と、応援団じゃないか?」

「ああ……道理で。目立つ人たちはそっちに行ってしまってるんですね。」


よく見ると体育祭運営本部にあたる、グラウンドの校舎側で、

にぎやかな集まりがあって、そこで応援団が旗を振っているようです。

こっちに残ってるのは暗いメンツってわけですね分かりました。


「ってよく考えたら、直樹くんも学級委員の仕事大丈夫ですか?」

「学級委員の主な仕事は、競技が始まる前にクラスをまとめる事だ。その時になったらちゃんと動くさ。」

「あ、なるほど……」


うん、やっぱり直樹くんしっかりしてますよね。

真剣な表情もイケメンですし、何もかも完璧なんですねこの人は。


そうこう言ってるうちに、玉入れが始まりました。

前髪の長めの中二病を探すと、すぐに達也さんが見つかりました★

意外と俊敏な達也さんは、すぐに自分の球を確保するのですが、

それを中央のカゴ目掛けて投げても、そもそも高さが届きません。

あの人どんだけ腕力ないんだろ。将来が心配になります。

達也さんは真面目なので、諦めはせず、

また次の球を探して、転がして、カゴの方へ投げるのですが、届かず。

時には妨害チームに球を奪われそうになって、必死で球を守って、

あれ、何か卑猥なことを言ってる気がしてきました。


「達也、下手だな。」

「直樹くん直球すぎます。球を投げるのが上手いだけに」


でも、悪戦苦闘している達也さんが微笑ましいな、なんて思っていると、

すぐに笛が鳴って、そこで競技終了。

一応この体育祭は紅白に別れて戦うことになっているのですが……


「状況から言って、白組がかなり優勢だよな。」

「そうですね……紅組にうのぽんや神様、正くんたち一組・二組・五組前半チームが居るとしても、僕ら三組の属する白組は最強オールスター四組と、渡様の率いる五組後半チームが居るんで……」


正直白組の優勝は火を見るより明らかなわけです。

と言ってるうちに玉入れの結果が出て、白組の勝ち。

リレーメンバー不在でも、やはりこっち側は強いですね。

うーん。うのぽんたちには悪いですけどねえ。


そして、達也さんが玉入れの競技から帰ってきました。

あまり活躍してはないですが、なぜかヘロヘロでぐったりしています。


「あ……達也さん、お疲れ様です……」

「達也投球下手だな。」

「うるせえコラ直樹、なんか言ったかよ!」

「下手だと言った。」


わーい直樹くん全然空気読めない。でも正直達也さんの下手さは否めない!

達也さんも色々と呆れながら、僕の方を見てきます。


「ま、下手なのは認めるがな……恒太もそう思うだろ?」

「いえ、前衛的で素晴らしいと思います。」

「それ褒めてるか?」



「よー!みんな元気かー!?」


僕ら三人が話している所に、すごい勢いで誰かが飛び込んできました。

そのインパクトでも分かったんですが、

直樹くんの幼なじみ、奥野正くんでした。何かお久しぶりです。


「なんだ正か。」

「なんだってなんだよー!まー直樹だから別にいいけどー。この体育祭は紅組が勝つからなー!」

「状況的に考えて二年は白組の勝ちだろ。他の学年はともかくな。」

「うわー直樹冷めてて超つまんねーなー。お前もっと本気でやれしー!」

「俺はいつだって本気だ。」


直樹くん&正くん。奇妙な凸凹コンビですね。

そしてもう一人。正くんと一緒に、ゆっくりと僕らに近づいてきました。


「玉入れは負けちゃった~。意外と入んないね~。」


去年一年間で見慣れた作り笑顔にポーカーフェイス。

達也さんの幼なじみにして、洋次くんの……元彼、テル君でした。

……何というか、今朝洋次くんがあれだけ落ち込んだ姿を見たのとは、

全く対照的に、テル君は見かけ上いつも通りの様子です。


「ああ、テルもリレー出ないのか。それで玉入れ出たんだろ?」

「そうだよ~。だって足遅いしね~。」

「……そうなんですか……足が遅いのにリレーに出る人間がここに居ます。」

「あ、落合出るんだね~。頑張ってね~。」


冗長なほどのんびりした口調で、テル君はふわりと笑顔を作ってみせました。

……やっぱり変わりませんね。

洋次くんとのイザコザ、多少はダメージを受けていてもおかしくないのに。

いや……うーん。とにかくテル君の気持ちは分かりません。

今それを指摘しても仕方ないですし、何も触れない事にします。


「しかし悪いなテル。この体育祭、俺たち白組が勝利の栄冠を……」

「いや達也さー、まだ分かんないかもよー!」


正くんが指した先はグラウンド。次の競技が始まろうとしていました。


 種目:綱引き


各学年の女子全員による綱引き。

バルガクの希少な女子たちで、そんなに体型の差はなさそうです。

笛の音と共に、紅白綱を引き、力は均衡するかに思えましたが、

紅組の中に、ものすごい声量と力で、綱を引く女子が一人混じっていて、

結局その女子の力で、白組は徐々に引っ張られていき、紅組の勝利。

力強くガッツポーズを決めたその女子は……我らが綿華さんでした。


「あっはっはっはっ!その辺の女子に負けてたまるもんですかっ!」



「なー?まだ分かんないだろー!」


やはり綿華さんは敵に回したくない女子ナンバーワンですね……。

紅白の点数差はこれでほとんどなくなり、正くんは得意な顔をしています。

そして正くんは、直樹君にビシッと人差し指を向けました。


「それじゃ次はクラス対抗リレーで、お前を打ち負かしてやるしー!」


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