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ネガティブな僕と、中二病っぽい彼。  作者: ホワイト大河
第二章 知らなくたって、いいんだよ
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ネガティブ・アスリート(1)

ブヒィィィィィィィィィ!!!

あ、すみませんもう始まってました?僕は豚ですブヒ。

今日は養豚場を出られる日!なんだか素敵な施設に運ばれますブヒ!

入ったら出て来られない施設ですブヒ!きっととても楽しいところブヒ!


……さて、冗談はさておき、落合恒太です。

何のことかはよく分からないんですが、今回僕のお話は、

なんだかドシリアスなストーリーの後に置かれると聞きまして、

ちょっとでも明るくなるように、最初に明るい話を差し込んでみました★



「どうした恒太?なんかぶつぶつ言ってないか?」


直樹君に結構本気で心配そうな顔して言われました。

この人には一切冗談が通じないので、僕は冷静を装います。


「あ、大丈夫です。ちょっと疲れてるみたいで……」

「そうか。体育祭も近いし、ちゃんと休めよ。」


普通に信じてもらったうえ、心配してもらって申し訳ないです。

相変わらず、朝はこうして前の席の直樹君と話すのが日課になっていて、

でもって直樹君はあまり他のクラスメイトと話さないので、

僕と話していない時には黙って何か考え事をしている事が多いです。

彼が「奇跡の子」である事はクラスにあまり知られておらず、

何でもできるすごい奴、とみんな思っているらしく、

近寄りがたいイメージがあるのは間違いないです。

生きる世界が違う、ってやつですかね。ちょっと寂しくもあります。



「まったく、体育祭なんてもんは滅びちまえば良いのに……」


そんな直樹君に、ついでに僕に、唯一近づいてくるのが、

空気読めないランク第二位(一位は直樹君)の、達也さんです★


「……いよいよ今週末ですね。不安しかないです。」

「俺もだ。あいにく俺はスポーツしてりゃストレス発散できる青春馬鹿とは違って、運動音痴の文化系なんでな。けっ!」

「そうですね、僕もです。」

「恒太お前野球部だろ。」


いや、僕は野球部でもベンチにも入れないので、

よく先輩や同級生のエースから「お前居たのか」とか言われるんで、

もう文化系も同然です★


「体育祭ってどんな感じなんだ?」


そうですね、転校生の直樹君には初の体育祭になります。

僕らも一回しかやってないし、まして活躍したわけでもないので、

全然うまい説明ができると思いませんけどね。


「ああ、スポーツが得意な奴はそこそこ楽しめるイベントらしいぜ。全学年が半分ずつに分かれて、赤と白で争うんだ。ま、リレーだの騎馬戦だのオーソドックスな競技で、その辺はどの学校も変わらないがな。」


そんなに乗り気でない達也さんが説明してくれました!

それを聞いた直樹君は、納得したのか興味を失ったのか無表情でした。

バルガクの大きなイベントとはいえ、僕らみたいな人種にとっては、

体育祭なんてどうでも良い事なのかもしれませんね……。



「そういえば恒太よ、騎馬戦のメンバー決まったか?」


興味を失って前を向き直った直樹さんに対して、

達也さんは興味のままに、流れで僕に話しかけてきました。

騎馬戦。明日の体育の授業で本番前に一度練習するから、

メンバーを決めておくように言われていたのを今思い出しました。



「え、ぼっちの僕にメンバーが決まってるわけないじゃないですか★」


「ケッ、奇遇だな俺もだ。じゃ俺とお前と直樹で組むか。」


あ、なんかあっさり良い感じに決まりました。

……騎馬戦って事は僕たちで騎馬を組むんですよね?

って事は手をつないだりナニをつかんだりナニをナニしたりそういうもごもご


「良いだろ直樹?お前も決まってないよな?」

「そうだな。よろしく。」


直樹君からあっさり了解を得ました。この子本当に考えた?

そして達也さんは今一度悩み始めました。


「しかし騎馬戦って事は、四人一組だよな……つまり、あと一人探さなきゃならねえって事か。まったく、ぼっちには辛い試練だぜ。」

「……そうですね。大変な作業です。」


そうは答えたものの、実際にはすぐ見つかるでしょう。

達也さんは誰にでも突っ込んでいけるから、

それって一般的にはコミュ力が高いと言っていいと思うので、

達也さんがその気になって誰かに声をかければ良いだけのことです。

周りの生徒によく話かけている達也さんの自称ぼっちは聞き飽きました。

あ、僕は心配しなくともリアルぼっちです。



「織田、お前クラスリレーに出てくれないか?」


ちょっと目を離したすきに、直樹君が話しかけられてました。

話しかけたのは……うちのクラスのムードメーカー、

次期サッカー部主将、勝田拓哉(かつたたくや)さんです。


「クラスリレー?」

「ああ、クラスから代表十人が走るんだけど、みんなやりたがらなくてさ。織田だったら、足も速いし……駄目かな?」

「良いよ。」

「本当か?ありがとうな!」


直樹君は考えたんだか考えてないんだか分からない二つ返事!

そうとも知らず勝田さんは整った顔をくしゃっと歪ませて笑っています。


ああ、しかし勝田さんレベルになるとすごいですね。

直樹君に話しかけづらい状況をものともせず近づいてくる、

まさに内外ともにイケメンの勝田さんならではです。

彼はそれからすぐそばに居た達也さんに目を向けます。


「……あ、長瀬……長瀬は……運動苦手だったよな。またの機会に。」


お、お察しいいいい★

……こういう体育会系イベントになると、

達也さんの魅力がいまいち発揮できないのは仕方ないですね。

何はともあれ、リレーをきっかけに直樹君に友達が出来れば本当によかっ……



「そうだ落合、お前もリレー出ないか?人が足りなくて困ってるんだ!」


はわわわわわわわ。遠い目をしてた僕にまで、勝田さんが話しかけてきました。

本当に困りました。迷惑をかける未来しか見えません。


「……あの、僕だと絶対皆さんに迷惑をかけてしまうような……」

「そんな事ないさ。リレーは個人競技じゃないんだ。みんなで協力しあって、足りない所を補えば一位だって狙えるから。」


はい、勝田さんがイケメンすぎて眩しいです。

直樹君とは違ったイケメンで、なんというか青春の匂いを感じます。

汗臭いって意味じゃないですよ。それも否めませんが。

とにかくそのキラキラしたオーラに、僕は飲み込まれてしまいました。


「や、やりまあす★」

「サンキュ!さすが落合、分かってるよな。」

「何がでしょうか?豚の言葉なら分かります。」


落合恒太&織田直樹 クラスリレー参加決定♪


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