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ネガティブな僕と、中二病っぽい彼。  作者: ホワイト大河
第二章 知らなくたって、いいんだよ
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忘れ去られたクリスマス

色とりどりのイルミネーション。

中でも一際輝いてるのは、黄色と緑色。


それは半年前、クリスマスイブの夜。

僕と洋次は、近所の公園のベンチに腰掛け、イルミネーションを見ていた。


「なあ、テル……今日ここに来れて、良かったな。」

「そうだね~。」


洋次は純真な笑顔と、真っ直ぐな目をこちらに向けてくる。

そんな洋次を、僕はきちんと見ることができない。


何となく目のやり場に困って、ぼんやりと十時の方向に目をやると、

何組かのカップルが行き交い、この温かなイルミネーションに歓声を挙げて行く。

もちろんそのどれもが……男と、女の、カップルで、

男同士の僕らは場違いな気がして、公園の真ん中から少し離れた場所に居る。


僕は知っている。自分が女を好きになることはできないのだということ。

けれど、洋次は……そうじゃないんだ。

きっと今だって、「自然」な恋をしたいに決まってる。



「カナちゃんの事、良かったの?」


僕は今日の日まで一週間ほど我慢していた事を、つい口にしてしまった。

先日、洋次は元カノのカナちゃんと再会して、復縁しかけたと思えば、

カナちゃんの再告白に対して、洋次はきっぱりと断り、

テルと付き合っている、テルの全部が好きだ、と僕とカナちゃんの前で言った。


「良かったの、って?」

「いや……カナちゃんだって、本気で洋次のこと、また好きになったんだと思うし~。」


……何が言いたいんだ、僕は。

こんなのただの偽善だ。カナちゃんに同情する暇なんて、無かったくせに。



「だとしても、俺が今好きなのはテルだ。それは変わらんだろ!」


自己嫌悪に陥った僕を救い出すかのように、洋次は優しくそう言った。

また、洋次の顔が見られなくなって、僕はうつむく。


洋次の事を信じていいのか、不安になる時がある。

一種の慰めと、同情と……それらが友情の延長線と交差し、

洋次はそれを、「恋愛」だと思い込んでいるのではないかと、怖くなる。

けれど……洋次はこうして時折優しい言葉を掛けてくれて、

それから身体を重ねあわせてくれて……。

洋次の感情が、全て自分に向けられていると感じて、ようやく僕は安心できる。

僕の手を、洋次が掴んでいてくれる限り……

できるだけ長く、僕はこの人と一緒にいたい――。


「テル。」

「なに~?」


声を掛けられて少し横を向くと、洋次が僕の額に、微かに口づけをした。

僕は慌てて辺りを見渡した。ちょうど、誰も見ていないようだった。

赤面した僕の横顔を見つめながら、洋次は意地悪く笑って、こう言うのだ。


「メリークリスマス!」

「……もう~。」



  ○   ○   ○   ○   ○   ○



イルミネーションを前に、二人で並んで撮った写真には、

いつだって自信満々の洋次と、いつだって自信のない僕が対照的に写っている。

写真フォルダに入っていたそれを、いつの間にかしばらく見ていた僕は、

目から流れ落ちた雫をぬぐい、静かに息を吐いた。


本当に削除しますか?という問いに、YESと答えて、僕は携帯を閉じた。

これで、洋次との思い出とはお別れ。……はやく、忘れなくちゃ。


……さよなら、洋次――。


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