表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネガティブな僕と、中二病っぽい彼。  作者: ホワイト大河
第二章 知らなくたって、いいんだよ
65/155

あぶない!保健室(4)

放課後。終業のベルと同時に襲い掛かってきた工藤を退治して、

おくっちがテル君を慌ただしく連れ去ったのを見送ってから、

あたしは鞄を手に、生徒会室へ向かう。

今日は執行部定例会。面倒だから、さっさと終わらせちゃお。



「ふんふーん……あ、菊池先輩!」

「……綿華か。」


生徒会室に行く道の途中で、あたしは美化委員長、菊池先輩に遭遇した。

今日も目尻が上がって、厳しそうな表情をしてるけど、

これが素なんだって気づくのには時間が掛かったわ。


「最近は変な行動を取っていないだろうな……?上川が、離任式でお前が何かしでかすんじゃないかと気を揉んでいたようだが……」

「あ、あはっ!ご心配なく。あたしも子供じゃないから、さすがにその辺の分別はついているつもりです。」


笑ってごまかしたわ。やっぱりやめといて正解だったわね。

もし離任式で暴れてたら、今度こそ菊池先輩にとっちめられてた。

最近、なんかこの人に逆らえないわ。

オチくん(落合)が言うように怖い人じゃないってのは分かってるんだけど、

やっぱり「公平」の二つ名が、余計にこの人の目を光らせてる気がするわ。


……そしてそんな彼に、後ろから愉快な生き物が飛びついた。

恐らく学校で最も、菊池先輩に近く、強く結びついている男。


「やっぱこっちに来でたっぺか!行ぐならそう言ってけろー!」

「……俊平。まず降りろ。」


愉快な男子寮寮長にして生徒会庶務、後藤先輩。

菊池先輩は、怪訝な顔をして飛びついてきた彼を引きはがしている。

……この二人の組み合わせを見てると安心するわ。なんか分かんないけど。


「そういや綿華!おめ足速いんだっぺ?なら、チーム寮生に加わるっぺ!」

「……おい俊平。ただでさえチーム執行部が人が足りないんだ。自重しろ……」


何の事かさっぱり分からないが、とりあえず笑っておいた。

とりあえず笑うって大事よね。オチくんから学んだわ。

……あそこまでひきつった笑い方をすると逆効果だけど。



とりとめのない話を続けていると、いつしか生徒会室にたどり着いていて、

のんびり歩いていたあたし達の到着は、メンバーの中でも割と最後の方だった。


マニキュアに夢中の月山先輩。ふんぞり返っている神様。

目を閉じて瞑想している勝村君。器用にペン回しをする飯島先輩。

そわそわ身体を揺する翔ちゃん。ノートパソコンと睨めっこする渋谷先輩。

最後に、冷たい目でこちらを見た、近頃あまり元気のない渡君。


思い思いに待っている彼らに合流して、あたしが席に着いたその時、

花園会長、桜塚副会長コンビが生徒会室に到着した。


「では、執行部定例会を始めるぞ。議題はもちろん、来週末の体育祭について。各委員会の役割と、全体の流れを確認して、あとは個人の自由だ。」


手際よく書類を配り、さっそく議事に入った、桜塚副会長。

定期的に髪を切ってるらしい桜塚先輩は、いつも爽やかだわ。



「各委員会で準備も進んでいると思うが、一応確認しておこう。学級委員は、クラスの取りまとめだな。」

「伝達済みです。後はプログラム待ちです。」


渡君が食い気味に答える。その表情はいつもより冷徹だわ。

噂だけど、学級委員会でひと悶着あったらしいわね。怖い怖い。


「それから、風紀委員は審判補助。」

「最後の委員会でルールを再確認します。」


風紀委員長、勝村君が目を閉じたまま答えた。

なんだか彼、最近どんどん仙人に近づいてる気がするわ。

勝村軍団も他学年にまで拡大してるみたいだし、彼は何になりたいのかしら?


「えー、放送担当が文化委員か。」

「原稿出来てるよ。前日にマイクチェックすれば大丈夫っしょ。」


身だしなみに余念のない飯島先輩は、自分の爪をじっと見ている。

当日のアナウンスはほとんど彼がやるらしいわ。向いてそうよね。


「で、体育委員は要の会場設営指示と用具準備。頼んだぞ!」

「任せて下さい!シミュレーション出来てます!」


執行部の元気印は今日も安定の翔ちゃん(翔希)ね。

勢い余って立ち上がったけど、慌てて座るのもなかなか良いわ。


「会場美化は美化委員。ここは問題ないだろ。」

「……褒め言葉として受け取っておくぞ。」


「公平」菊池先輩の一言ほど力強いものは無いわ。

腕を組んで、今も全体ににらみを利かせてる。さすがに怖すぎ。


「プログラム印刷、広告担当が図書委員。……大丈夫か?」

「黙ってろ。こっちは順調だ。」


コンピュータに強い渋谷先輩が、悪態をつきながらもそう答えた。

渋谷先輩のとこは、当日よりも前日までが大変そうね。


「あとは……保健委員、保健衛生管理だな。先生は二人とも新任だから、お前が引っ張ってやれよ、綿華!」

「……そうですね。あたしが何とかします。」


そうね、安達&中島の凸凹コンビに任せてらんないわ。

あたしが一番しっかりしなきゃ、ダメってもんよ!

こうなったら燃えて来たわ!目指すは怪我人ゼロよ!

全校生徒に、保健室には綿華小百合ありって教えてやるわよ!


「それから、総希、俺、月山、上川、後藤の本部メンバーは、常に気を配らせておく。人手が足りないと感じたら、いつでも俺らを呼んでくれ!」


桜塚先輩がニッと笑った。このメンバーは頼もしいわね。

あたしも無理して迷惑かけないように、困ったら神様をこき使う事にするわ。


資料の簡単な確認と伝達が終わった所で、会議も終わりに差し掛かり、

最後の花園会長がコメントした。


「非常に順調に進んでおり、私は皆さんに助けられています。特に各委員長の昨年度末からの伸びは目を見張るものがありますね。各人がそれぞれの担当を全うし、悔いのない体育祭にしましょう。」


ニッコリと笑う花園会長。この人だけはどうやっても読めないわ。

それで、号令がかかって会議はお開き。さて、さっさと帰ろーっと。



「ねえサユ。この後ヒマ?どうせヒマよね。」


……会議中もマニキュアを塗り続けていた月山先輩が、

あたしの方をじっと見つめて声を掛けて来た。最悪の予感。


「十分後に正門集合。夏服の新作見に行くの付き合って。」

「……えーっと、あ!あたし用事があったような」

「返事は『はい』か『YES』にして。」


わーーーい!わーいわーい!まったく人の話を聞かないわ!

月山先輩、弟のテル君と違って自己中すぎ!

何なのこのお姫様!そりゃテル君も言いたいこと言えなくなるわ!

そして、絶望してるあたしに構わず、月山先輩はもう一人、声を掛けた。


「あ、渋谷。あんたも来なさい。荷物持ちが必要だから。」

「……は、はァ!?てめェ、いつから俺より偉くなったんだ!?」

「生まれた時からよ。さ、九分後よ。急いで。」


……地獄のショッピング、はーじまーるよー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ