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転生ドラゴンは、今日もお嬢様の膝の上からお守りする!  作者: 人紀
第六章

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お嬢様の部屋に案内される!

 ただ、おじいちゃんな学院長さんは困った顔をしながら言う。

「クリスタリ侯爵令嬢のその志は素晴らしい!

 ただ、分けるのには護衛をやりやすくするためという理由もありましてなぁ……」

 ま、まあ、お嬢様は時代が時代なら王女様と呼ばれていただろう血筋と、遺憾ながら馬鹿王子の婚約者だもんなぁ~

 皆と一緒にして、もしもの事があったら、学院長さんを含めて、何人もの学院関係者の首が飛ぶことになるもん。

 認められないよね。

 その辺りを説明され、流石に無理は通せないと思ったのか、お嬢様は苦い顔をしつつ了承した。

 因みに護衛に関しては王家から派遣された、近衛隊が担うとのこと。

 下手に自領の騎士を連れ込まれると、家同士の決闘をおっぱじめかねないからとかなんとか。

 まあ、そうだよね。

 一通り説明した後、学院の見取り図っぽいものを広げながら、学院長さんはわたしを見る。

「キュートリック殿には、従魔が関わる授業以外は校舎や鍛錬場などがある区域には入らないようにして下され。

 また、空を飛べる竜殿には煩わしいと思われるかもしれませんが、学院の敷地を出入りする場合は、必ず、正門の門兵に断って下され」

「キュー!

 ちゃんと学院長先生のおっしゃる通りにするのよ!」

と何やらお嬢様が厳しく言ってくる。

 無論、問題ないので、わたしは「がっ!」と了承する。

 すると、お嬢様は何やら、じっとこちらを見てくる。

 そして、見取り図を指さし、念を押してくる。

「キュー、ここは入っては駄目!

 絶対に駄目よ!

 この周りも!」

 お嬢様が指さしている場所は校舎である。

 お嬢様がお勉強をされる場所や、鍛錬をされる場所、さらにはご学友と楽しく談笑をされるだろう場所である……。

 本当は入りたい!

 お嬢様の膝の上で、キラキラしているお嬢様が色々するのを見ていたい!

 だけど、駄目だというなら諦めるしかない。

「がっ!」っと言いつつ頷く。

 同意したのに、何故かお嬢様から胡乱(うろん)げな目で見られる。


 何故!?


 しかも、「キュー……。あなた、何か企んでいる?」とか言い出す始末だ。

 非常に不本意だ!

 わたしが〝何をおっしゃる! わたしはお嬢様の忠実な竜! しかも、良い子の竜ですよ!〟とプリプリ怒りつつ「がっ! がっ!」と声を上げると、お嬢様は目をすっと細める。

「あら?

 わたくしに、キュー(あなた)のやらかしを全て挙げさせたいの?」


 ……それを言われると、ちょっと、ね。


「が……」と言いつつ、顔を引きつらせ、斜めの方に視線を向けていると、学院長さんが笑いながら「まあまあ」とお嬢様を宥めてくれる。

「ここは、キュートリック殿を信じて差し上げて下さい」

 そして、こちらを向くと、真剣な表情で言う。

「ただ、念のためにお伝えしておきますが、寮もそうですが、校舎では特に、警護の兵が神経を尖らせております。

 余り怪しい動きをされると、斬られかねませんので、ご注意くだされ」

 わたしは特に問題ないので「がっ!」と答えておいた。

 そんなわたしを、お嬢様は心配そうに眉を寄せながら見てくる。


 あれ!?

 わたしって、そんなに信用されてない!?

 結構ショックなんだけど!?



 学院長さんとの挨拶を終え、寮母という上品そうなおばさんに、お嬢様の部屋まで案内されることになった。

 当然と言うべきか、寮は男女で建物が分かれていて、しかも、その間に食堂を挟む徹底ぶりであった。

 要するに、少年少女の火遊びは絶対に許しません! ってことだろう。

 まあ、大半が貴族のご子息、ご令嬢な学院でそれらの問題が発生したら、下手をすると国中が混乱しかねないもんね。

 そうなるか。

 寮は3階建てで、ひょっとすると、最上階が全てお嬢様の場所かな? とか思ったけど、違った。

 お嬢様のお部屋は、女子寮の入り口から右手奥がそうらしい。

 まあ、エレベーターがある前世ならともかく、一番身分の高い人達に階段で3階まで歩かせるとか、普通にないか。

 少し行くと、騎士然とした20代ぐらいのお姉さんが2人、部屋の前に立っているのが見えた。

 寮母のおばさんが、お嬢様に2人を紹介している。

 どうやら、これら女性の警護兵さんたちが、お嬢様が寮にいる間、ローテーションで護衛するとの事だった。

 お嬢様が「よろしくお願いします」と声を掛けると、キリっとした表情のお姉さん達が「はっ!」と返事をした。

 なんか、格好いい!

 わたしも、アネットさんに抱えられた籠の中ながらにも〝よろしく!〟という気持ちを込めて「がっ! がっ!」と鳴いた。

 すると、口元を少し緩ませたお姉さん達が「はっ!」と返してくれた。


 寮母のおばさんは一通り説明すると、出て行った。

「出ても良いけど、大人しくしてるのよ」

と言いつつ、アネットさんが籠の入り口を開けたので、わたしはぴょんと外に出る。

 すると、お嬢様に抱き上げられた。

 ふむ、当然のことながら、籠の中よりお嬢様に抱っこされて運ばれる方が居心地が良い!

 お嬢様はそのまま部屋に置かれたソファに腰を下ろすと、わたしを撫でつつ「本当に、大人しくしてないと駄目よ」と念を押す。

 無論、そのつもりなので「がっ!」と答えつつ、部屋を見渡した。

 ふむ、侯爵邸のお嬢様の部屋を考えると、少々、こじんまりとしているけど……。

 それでも、学生寮ってことを考えると、異例中の異例の大きさだ。

 しかも、前世、中学校の教室の広さ分が、1階~3階までお嬢様専用の場所とのことだ。

 流石、セレブ中のセレブって感じだ!

 1階は来客用談話室や、アネットさん達が給湯等、お嬢様のお世話をするための道具を置く場所、そして、アネットさん達の寝室が2つ用意されていた。

 2階はお嬢様のお部屋がある。

 少々狭いだけで無く、侯爵邸の物に比べると、地味な感じのお部屋だ。

 なんでも、ベッドや机等の家具全て学院が用意した物なのだとか。

 なので、比較的地味な感じの色合いになっている。

 ここら辺、王族、大貴族の部屋だけで無く、一般生徒の部屋も、基本的には学院が用意した、明け透けに言うと没個性な物を使用することになっているとの事だ。

 持ち込みを許可すると、生徒同士が張り合いだし、ろくな事にならないかららしい。

 それでも、無理を通そうと持ち込んでくる生徒もいるらしく……。

 寮母さんは嬉しそうに「クリスタリ侯爵令嬢はそのようなことをなさらないご様子、噂通り、慎み深い淑女ですわね」とか言っていて、お嬢様はなんとも微妙な顔をされていた。

 あと、トイレや浴室、そして、小さいけどテラスもある。

 テラスにはテーブルが1つに椅子が2つ用意されているけど、サイズ的に基本1人用だろう。

 3階は衣装部屋と荷物置き場として使えるようだ。

 あと、状況に応じて騎士が控える場所なのだとか。

 どんだけ切迫した状況になれば、そんな所に控えることになるのかって聞きたくなるけど……。

 まあ、以前、王族とかが何かしらあったんだろうね。

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