表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリニティポータル  作者: 木山碧人
第八章 世界の終末

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
136/269

第136話 知られざる秘密

挿絵(By みてみん)





 

 ラウロ・ルチアーノ。シチリア系マフィアを率いる組長。


 通称『ルチアーノファミリー』はニューヨークを拠点に発展。


 アメリカで五大ファミリーの一つと呼ばれるほどの成長を果たす。


 業務内容については聞かされていなかった。当時は子供だったからな。


 薬か、盗みか、殺しか、賭博か、密輸か、売春の斡旋か、それとも全部か。


 ――犯罪なのは間違いねぇ。


 そうじゃねぇと、マフィアを名乗る意味はねぇからな。


 少なくとも、犯罪者集団を取りまとめていたのだけは確か。


 五大ファミリー時代はブロックごとに縄張りを決め、役割分担。


 シマで問題が起きた場合は、相談役のようなものもやってたはずだ。


 見るからに犯罪者だろって人が屋敷に訪れていたのは、鮮明に覚えてる。

 

 ――そんな親父が亡くなったのは8年前の夏だった。


 コレクションルームの収集品を見せてもらった後に起きた。


 悠々と訪れたのは、黒い鎧。親父が殺される前の映像が見える


「飛ばしてくれ。それは……二度と見たくねぇ」


 ラウラは眉をひそめ、早送りを要求する。


 今でも覚えている景色を見ても、意味がねぇ。


「いいけど……どこまで飛ばす?」

 

 映像を停止したツクヨミは、尋ねる。


 口振りからして、どこでも指定できるだろう。


 選びたい放題で迷うところだが、答えは決まっていた。


「親父が死んで、僕が気絶した後だ。そこから見せてくれ」


 指示を飛ばし、ツクヨミは従い、映像は屋敷が全焼した後。


 屋敷周辺に広がる森林にまで燃え広がり、熱気に包まれていく。


 炎に包まれる屋敷の中から現れたのは、親父を殺した黒い鎧だった。


 黒と白の自動拳銃を両手に持ち、緩やかに歩き続け、正門を飛び越える。


 ――間違いなく、リーチェの得物だ。


 『復讐心』に同調する、聖遺物レリック『フェンリル』を操る。


 同調率が上がるごとに動物→武器→鎧→獣と進化していく。


 獣に関しては未確認事項だが、鎧までの進化はこの目で確認済み。


 そこまで至れる使い手は少数で、同じ聖遺物レリックを使っても、差が生まれる。


 必然的に中身は『リーチェ』……だと思っていた。


「ちょ、ちょっと待て! どうなってんだこりゃあ……」


 目に飛び込んできたのは、黒い鎧と対峙する四名の存在。


 どれも顔に見覚えがあり、思いもよらなかった面々が揃っている。


「……」


 ツクヨミは、何も言わずに映像を一時停止する。


 対峙する四名の顔がアップになり、疑う余地はねぇ。


 メイド服姿のセレーナに、タンクトップ姿のアンドレア。


 滅葬志士の青い制服に身を包み、腰の日本刀を抜く千葉一鉄。


 そして、 残ったのは黒いロングコートを羽織る、長い銀髪の少女。

 

「リーチェ……だと。鎧の中身は、奴じゃねぇってのか……」


 長年、親の仇だと思い続けていた人の登場だった。


 能力や手品でもなければ、鎧の中身は別ってことになる。


 ――つまり、逆恨み。

 

 勘違いでリーチェを犯人だと思い込んでいたわけだ。


 あいつも否定しねぇから、犯人とばかり思っていたが……。


「どうする? この先を見たい? それとも、こうなった経緯を見たい?」


 感情を整理していると、ツクヨミは表情を変えずに問いかけてくる。


 続きが気になるが、対峙する理由も、一鉄がいる理由も全く分からねぇ。


 このまま再生しても疑問が重なるだけで、ストレスが溜まるだけな気がした。


「経緯を見せてくれ。出来れば、ターニングポイントってやつを知りてぇ」


 選んだのは、後者。事件の発端を知ることを優先した。


 キーワードさえ言えば、直感的に映像を操ることができる。


 そのツクヨミの言葉を真に受けるなら、十分可能なはずだった。


「うん、分かった。……やってみる」


 彼女は素直に応じ、表示される映像に波が走っていく。


 時間が巻き戻り、火事は収まり、映ったのは屋敷の応接室。


 時刻は朝方、親父は長机に面したソファに座り、コーヒーを飲む。


 日をまたいだような感じはなく、『熱い夜』が起きる日の朝になるはず。


 ――コンコンコン。

 

 そこにノックの音が鳴り響き、ラウロは気付き、扉を開く。


 現れたのは白いローブ服を着て、フードを深く被っている人物。


 背は低く、腰は曲がり、弱々しい足取りで、応接室へと入っていく。


 ――まさか。


 口にはしなかったが、ある予想が脳裏に浮かんだ。


 まだ確定はしてねぇし、勘違いの可能性も十分あった。


 リーチェが犯人じゃなかった件もあるし、早とちりは禁物。


 そう考えながら、映像を見守っていると答えは明らかになった。

 

『久しいねぇ、ラウロ・ルチアーノ。元気だったかい?』


『ご無沙汰しております、イザベラ枢機卿。おかげさまで健康そのものです』


 適当な挨拶を交わし、正体は明らかになった。


 口に出そうになるが、続きが気になって仕方がない。


 止める理由はなく、映像は時間の流れに沿って再生させる。


『そいつは良かった。例の抗争で、助けてやった甲斐があるってもんだね』


『その件につきましては深く感謝しております。ただ、本日のご用件は……?』


 何か縁があったのは確定。その関係性の上で会話は進行する。


 知る由もなかった時間が進み、イザベラの口から本題が語られた。


『……突然だが、アタシが死ねと言ったら死んでくれるかい?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ