第五話 空間転移の異変に巻き込まれる
そして、楓が残りのゴブリンを倒そうとした瞬間……
楓の体が淡い白い光に包まれ始めた。
「お姉ちゃん体が急に光って……!?」
「っ…楓!!」
とっさに私は楓の体を抱きしめた。
(転移魔法? いや、この魔力は違う……!)
「私も何が起きてるかわからないから動かないで!」
「なにこれ!?さらに光が強くなって―――――!?」
その瞬間、視界が真っ白に染まった。
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【一ノ瀬優奈視点】
落ち着け。状況を整理しろ。私の名前は一ノ瀬優奈。いわゆるダンジョン配信者だ。今日は事務所の後輩のレベル上げを兼ねてここのDランクダンジョンに来たはず。それが何で――――――――――――――
「なんでこんなところに龍がいるの……!?」
:え?
:ドラゴン?
:は???
:Dランクだよなここ?
:優奈ちゃん逃げて!!
:ギルド呼べ!!
<白石花音>
:優奈ちゃん逃げて!?!?
:花音ちゃん!?
:本人!?
:逃げてって言ってもどうやって逃げるの!?
<結城天稀>
:どうせネタでしょ。多分助かる
:上のやつ何の根拠でそんなこと言ってんだよ!!
:また推しが死ぬ場面を見なきゃいけないの……?
龍は、ゆっくりとその巨体を持ち上げた。
黄金色の瞳が、まっすぐ私を捉える。
「っ……!」
全身に悪寒が走る。
本能が叫んでいた。
勝てない。
そんな確信だけが頭を支配する。
「日葵ちゃん下がって!!」
そう後輩に声をかけ、私は剣を構えた。一歩前へ出て、私の中で一番の火力を持つ魔法を発動する。
「――《雷撃》!!」
轟音と共に雷が龍へと落ちる。
しかし。
バチッ……
「……え?」
雷は龍の鱗をわずかに焦がしただけで、ほとんどダメージを与えられなかった。
龍は鬱陶しそうに首を傾げる。
「そんな……」
私の全力の魔法が、通じない……?
龍はゆっくりと口を開く。
口の奥に、真紅の光が集まり始めた。
「ブレス……!」
終わった。
そう思った、その瞬間――
世界が白く染まった。
「なっ……!?」
龍も、ダンジョンも、景色も。
すべてが白い光に飲み込まれていく。
その光の中で「っここは一体……!?こいつは……なるほどそういうことね!」
という声が響きながら私の意識は暗く底へ落ちていった。
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【主人公視点】
徐々に白い光が薄れていく。
視界が戻った先にいたのは、見知らぬ二人の少女と、一体の龍。
……いや、どういうこと!?
「っここは一体……!?」
周囲を一瞬だけ見渡す。
「……なるほど。空間転移に巻き込まれたのね。」
何とか状況を理解した私は光魔法を使って姿を変えた。適性がない魔法を使えている理由は……後で説明しよう。
「そこの君!早く気を失っている女の子を連れてここを離れて!」
私はそう妹に声をかけた。さすがにこの姿で楓の名前を呼ぶわけにはいかない。
「あなたは誰で―――――いや、今は重要じゃないか。わかりました!」
そういって彼女らは気を失っている女の子を連れて離れていく。さすが私の妹だ、こういう時の判断だけは早い。
「さて……」
ドラゴンを見据えながら一歩前へ出る。
銀色の髪が揺れ、純白の魔力が全身を包む。
「今までよく耐えてくれたね。」
「でも、ここから先はあなたたちの戦場じゃない。」
私はゆっくりとドラゴンへ向き直る。
「このSランク探索者――」
龍が低く唸る。
私は微笑みながら名乗った。
「白銀玲奈が相手になってあげるよ。」
龍はその時初めて一歩後ろに下がった。
:誰!?
:え、今誰か来た!?
:白銀玲奈……?
:Sランク探索者って言った?
:いやいや聞いたことないんだけど!?
:隠し玉か!?
:噂程度には聞いたことはあるけど…!?
:都市伝説じゃなかったのか……?
<神代凛>
:な~んだ、誰が来たのかと思ったらレイナちゃんか
<氷室蓮>
:そうだな。レイナが来た時点で討伐完了みたいなもんだ。
:銀髪……めちゃくちゃ綺麗……
:ドラゴン相手に笑ってるんだけど……
:は!?Sランクの蓮と凛!?
:え、本当にSランクなの!?
:普通なら逃げる場面だろ!?
:もしかして本物の化け物?
:頼む……優奈ちゃんを助けてくれ!!
:Sランクなら勝てるのか……?
:ギルドの秘密兵器ってやつ?
:え、配信神回じゃん
:いや神回じゃなくて生き残ってくれ!!
:ドラゴンが警戒してる?
:今まで余裕そうだったドラゴンが動きを止めたぞ
:威圧が変わった……
:これ絶対強い人だ
:白銀玲奈……覚えた
私はゆっくりと右手を前へ掲げた。
「それじゃあ――始めようか。」




