第四話 楓の初戦闘
「さて、楓は魔法って何か知ってる?」
そう私は楓に質問をした。
「えーと、魔力を使って炎とか風とかを出す力……かな?」
「うん、間違いじゃないよ。でも、それだけじゃないんだ。」
「それだけじゃない?」
楓は不思議そうに首を傾げる。
「魔法を使うにはまず属性適正が必要なんだ。楓なら風属性適正と水属性適正を持ってるから、この二つの属性の魔法が使える。」
「じゃあ火魔法とか雷魔法は?」
「基本的には使えないね。」
「えぇ~、火魔法って格好いいのに……。」
「でも二属性持ちはかなり珍しいよ。」
「そうなの?」
「うん。普通の探索者は一属性しか持ってないからね。二属性持ちは才能があるって言われてる。」
「へぇ……。」
楓は少し嬉しそうに自分のギルドカードを見つめた。
「それと、勘違いしてほしくないことが一つある。」
「?」
「同じ魔法でも、人によって威力は全然違う。」
「え?」
「例えば…火球。」
私は人差し指の先に小さな火球を浮かべた。
ボッ。
「これくらいなら初心者でも出せる。」
そう言って火球を近くの岩へ放つ。
パチン。
火球は岩に当たると小さく弾けて消えた。
「こんな感じ。」
「うん。」
私は今度は少しだけ魔力を圧縮する。
ボォォッ……
さっきよりも濃い赤色の火球が生まれた。
「これは魔力操作を意識した場合。」
ドゴォン!!
火球は岩を吹き飛ばし、破片が辺りへ飛び散った。
「わぁっ!」
楓が思わず目を丸くする。
「そして最後。」
「え?」
私は少しだけ本気で魔力を込める。
ゴォォォォォ……
周囲の空気が熱を帯び始め少し青くなる。
「ちょっ、お姉ちゃん?」
「安心して。」
私はすぐに魔法を解除した。
「……今のは危ないからやめとく。」
「いや絶対危なかったよね!?」
「うん。」
「うんじゃないよ!」
私は苦笑いしながら肩をすくめる。
「つまり、魔法は魔力量だけじゃなくて魔力操作でも威力が変わるってこと。」
「なるほど……。」
「だから楓も練習すれば今よりずっと強くなれる。」
「よーし!」
楓は杖を握り直した。
「私も頑張る!」
「その意気。」
私は周囲を見渡す。
ちょうどいい。
魔力探知に複数の反応が映った。
「楓。」
「うん?」
「実戦で覚えようか。」
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ガサッ。
茂みの奥から三体のゴブリンが姿を現す。
「げっ……!」
楓が一歩後ろへ下がる。
「お姉ちゃん、三体いるよ?」
「見えてる。」
私は一歩だけ後ろへ下がった。
「今回は楓が倒してみな。」
「えぇぇぇっ!?」
「大丈夫。危なくなったら私が助ける。」
「で、でも……。」
「経験しないと強くなれないよ。」
楓はゴクリと唾を飲み込む。
「……わかった。」
杖を両手で握り締める。
その瞬間、一体のゴブリンが棍棒を振り上げながら突っ込んできた。
「きゃっ!」
楓は慌てて後ろへ飛び退き、杖を構える。
淡い緑色の魔法陣が足元に浮かび上がる。
「風刃!」
ヒュンッ!!
風の刃が一直線に飛び、ゴブリンの肩を切り裂いた。
「ギャアアッ!」
「や、やった!」
「まだ二体いるよ!」
残るゴブリンが同時に襲いかかる。
「楓、落ち着いて!」
私は声だけで指示を飛ばす。
「敵じゃなくて、動きを見て!」
「……うん!」
楓の目つきが変わる。
さっきまでの焦りは消え、冷静にゴブリンの動きを見極め始めていた。




