第三話 初ゴブリン
【妹視点】
「楓、どうする?」
お姉ちゃんはそう言うけど、私は今までEランクダンジョンしか潜ったことがない。出てくるのはスライムばかりで、ゴブリンなんて倒したこともなかった。
しかも複数のゴブリンなんて見たことすらない。
そう私が言うと
「今回は私が倒すから、あとでカードを見せてね。」
と言ってきたので私は「わかった」といった。
「それじゃ、ちょっと下がっててね」
お姉ちゃんはそう言うと、まるで散歩でもするかのような軽い足取りで一歩前に出た。
そして、右手をすっとゴブリンに向ける。
(え、武器も持たないで魔法で戦うの……?)
その瞬間、空気が変わった。
ボォッ!!!
次の瞬間、お姉ちゃんの手のひらから火球が放たれる。
「ギャッ―――――!?」
「は?どうなってるの?私の知ってる火球じゃないんだけど!?」
ドォォォォォン!!!
地響きと共に爆風が吹き荒れ、私は思わず腕で顔を覆う。
数秒後、恐る恐る目を開けると――そこには、跡形もなく消え去ったゴブリンと、赤くドロドロに溶けた岩壁だけが残されていた。
「……え?」
嘘でしょ。Eランクダンジョンで他の探索者が使っていたファイアーボールとは、あきらかに規模が違いすぎる。
「よし、片付いたね。ねえ楓、ギルドカード見せて?」
お姉ちゃんは、まるで今のは当然だったとでも言うように、振り返ってケロッとした顔で言った。
お姉ちゃん……あんた何者……!?
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【主人公視点】
「楓、ギルドカード見せて。」
私は半ば放心状態になっている楓にそう声をかけた。
「…わかっ……た。はい、これがギルドカードね。」
―――――ギルドカード―――――
【所属:国営組織日本探索者協会】
【氏名:桜庭楓】
【スキル】
・風属性適正
・水属性適正
【ランク:D】
【最高攻略ダンジョン:E】
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「属性適正が二つあるのはいい感じだね。」
「やっぱり二つも属性があるのは珍しいの?」
「珍しいね、まぁ私が教育すればAランク程度にはなれるかな!」
「普段の様子からして信用できないし、むしろ私がお姉ちゃんを教育したいかな?」
「ヒェッ貞操の危機を感じる!?」
しかも心なしか目のハイライトが消えてる気もする……?
「え~別にいいじゃん!だってお姉ちゃん男より女のほうが好きなんでしょ?」
「……」
そりゃ前世男だったしね!?メ〇堕ちモノをよく見てたからって私がそうなりたいわけじゃないし?だから仕方ないっていうか……
「まぁ、別にいいけどさ」
「え?」
「だっていつか必ず私に堕とすからね!」
「え!?ちょっそれは困るというk」
「お姉ちゃんが隠してる秘蔵の本に姉妹モノよりも幼馴染のヤンデレモノが多いのはちょっと腹立つしね!」
「ナンデソレシッテルノオォォォォオオオオオオオオオオオオオオオォ!?」
「アハハハハハハハハハハハハハハやっぱりお姉ちゃんを弄るのは楽しいね!」
ダンジョンの中に、妹の高笑いと私の乾いた笑い声が響いていた。
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