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ハードワーク美少女

 今日も激しい練習になった。


 この前に男子を連続して倒した件もあってか、今日の練習ではミドル級の男子を相手にして、男子選手は軽めのマスボクシング、私はスパーリングという変則ルールで練習をした。


 そこまでは良かったけど、「相手も重量級だし思いっきり打てる」ってくっつきながら左右からフックを連打したらアバラが折れてしまったのか「ぐああああ」とか呻きだして強制終了になった。


「嘘だろ……」


 八村先生が唖然としてリングを眺めていた。先生の長いキャリアでも、私の存在は異質らしい。


 一番重い相手を殴り倒してしまったので、空気的に「はい次の人、リングに上がって」って言える空気でもなくなってしまった。


 しょうがないので、サンドバッグを可能な限り滅多打ちにして体力を鍛える。疲労の残っている時に連打でさらに負荷をかけることで、より一層太い体力が付くことになる。


 重心を落として、体重移動で超高速メトロノームの如くフックの連打を放っていく。


 まだだ。まだこんなものじゃない。


 志崎由奈は、この連打の間にもカウンターを突き通してくる可能性がある。それすらも出来ないぐらいに、強烈な連打を叩き込まなくちゃ。


 左右の連打の中に、時折アッパーも織り交ぜていく。十字型デンプシーロールみたいな。あんまりよく知らないけど。


 とりあえず時間いっぱいドコドコと打ちまくると、サンドバッグ打ちは終了した。


 この時点で正直吐きそうなぐらいキツいけど、ここでさらにシャドウボクシングで疲れながらもフォームを維持し続けてパンチを打つ練習をする。


 こうやって自分の限界をちょっとずつ超えていく練習を繰り返すことで、本当にキツい時とか疲労困憊になった時に日頃の努力の正体が出てくる。


 キツい時に手を抜いてしまう癖が付いていると、両者疲労困憊となった展開で気持ちが折れてしまう。だからこそピンチの状況を日頃の練習から疑似的に味わっておくってわけ。そういう意味では、練習はたしかに嘘をつかない。


 集中力を切らさずにシャドウボクシングを3ラウンドやると、ある意味やっと一息つける。この後まだ筋トレがあるけど、それは集中していなくても出来るわけだし。


 水を飲んで、サーキット・トレーニングで腕立てやら腹筋、バービーと呼ばれる床に伏せて足を伸ばしてまた立つというエグめのメニューを繰り返すと、ここでやっと練習は終わりになる。


 何人かの男子は合同でやるサーキット・トレーニングを終えると床に転がっている。まあ、サーキットが苦手な人ってこうなるよね。


 このトレーニングは私が「前世」で繰り返してきた練習内容だった。それを紙に書きだして、八村先生に渡したら採用されたってわけ。まあ、初めてそのメニューを見た先生は思いっきりドン引きしていたけど。


 とりあえず今日も頑張ったから帰ろうか。志崎という目標がいようがいまいが、結局トレーニングとは自分との闘いだ。それに勝てれば成長するし、負ければどんどんダメになっていくだけ。


 今日も明日も、少しずつ昨日よりも強くなる。


 そういう道のりの向こうに、きっと何かが待っているんだ。それが何かは分からないけど、辿り着くまで私はやめない。

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