夜に話す秘密といえば ─ girls’ side 2 ─
「───と、いうことなのだけど」
「そんなことがあったんですね…!…じゃあ、一つお伺いしたいのですが」
「…何?」
あったこと全てを話し疲れていた私に、リーリアがまた答えにくい質問をしてきた。
「ヴィオレット様は、殿下のことをどう思われているのですか?」
「え!?あ、アレス様のこと?」
「はい!」
一片の曇りもない瞳。この瞳の前では嘘は吐けないな、と思いながらも、だったらどう答えればいいのか悩んでしまう。
もちろん殿下のことは好き、なのだが…。私の考える“好き”が、推しへの感情なのか、一人の男性への感情なのか、正直なところわからない。
考えに考えて、結局私が口にしたのは当り障りのない言葉だった。
「……ただの元、婚約者よ」
「え、そうなんですか?私、てっきり…」
「───それよりも、リーリアはどうなの?ほら、フィサリス様と」
「そんな、フィサリス様とは何でもないですよ。昨日だって、学院に慣れない私に気を使って下さっただけですし…」
これ以上掘り下げられる前に話を逸らした。話を続けていると、きっと、気付かなくて良いことに気付いてしまうから。───否、もう気付いているのだろうが。
心の声から意識を移して、リーリアに笑顔を向けた。
何でもない、と言いながらも、リーリアは頬を桜色に染めて、いつも以上に愛らしかった。
(…全然何でもなくないじゃない)
「だったらリーリアは、フィサリス様が他の女性と仲良くしていても良いの?」
「それは!…嫌、です」
苦笑交じりに言ってみると、リーリアはかなり真剣な声で答えた。私が思っていたよりも、本気でフィサリスのことを好いているようだった。
(ああ見えて、フィサリスって真面目なのよね。まあ、きっと大丈夫でしょう)
リーリアのことを友達として心配している以上に、彼女がアレス様のことを何とも思っていないことに安心してしまっていた自分に、嫌気がさしてくる。
「…でも、まだ出会って一か月くらいなんですよ?」
「別に良いのではないかしら?時間なんて関係ないと思うわ」
「そう、でしょうか」
「ええ!…だから、後悔しないように、ね?」
その言葉はきっと、自分へ向けていた。どうにもならないとわかっていながらもずっと後悔している、諦めの悪い私に。
「はい、わかりました!…ヴィオレット様も、後悔しないでくださいね?」
「……大丈夫よ?後悔なんてしていないもの」
何故か、リーリアは気付いている様子だった。
……私は、笑って答えられただろうか。
明日はアレスとフィサリスの話になります。
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