夜に話す秘密といえば ─ boys’ side ─
アレス視点です。
「なあ、アレス!お前、夜は暇か?」
「一応、暇だが。……何かあるのか?」
今までの経験上、フィサリスがこんな風に話を切り出してきた時には、後に面倒な事になる。安易に答えるべきではなかった、と若干警戒しながら問いかける。
そして、そんな俺にフィサリスはニヤリと笑って言う。
「じゃあ、今夜は部屋にいろよ?絶対だからな!」
「……は?」
何故、と尋ねる間もなく、フィサリスは片手をヒラヒラ振って立ち去っていく。彼の後ろ姿を見ながら、俺は溜息を吐いた。
(……やはり、何も考えずに答えるべきではなかったな)
再び、溜息が零れていた。
◇◇◇
「───アレス、いるか?…お、ちゃんといるな!」
「…何故、ノックもせずに普通に入ってくる?」
「細かいことは気にするなって!鍵閉まってなくて良かったー」
俺の視線を物ともせず、飄々とした様子でフィサリスが勝手に入ってくる。そして、まるで自分の部屋にでもいるかのように、ソファで寛ぎ始めた。
俺は今日何度目かわからない溜息を吐いた。
「で?結局何の用なんだ」
「あ、そうそう!俺、アレスとヴィオレット様の話が聞きたくて来たんだよね」
「……俺と、ヴィオレットの話?」
相手にしないわけにはいかない、と半ば諦めた俺に、フィサリスはいつもの何処か思考の読めない笑顔を浮かべて言った。
「ほら、昨日お前たちデートしただろ?どうだったのか聞きたいなーって」
「…お前に話すことなどないが」
「そんなこと言うなって!実際どうだったんだ?」
「どうもこうも、ヴィオレットが食べたがっていた菓子を食べに行っただけだ」
答えないのも面倒になってしまって、簡単に答えた。フィサリスは信じられないものを見るような目で俺をじっと見ていた。
「え、それだけ?マジで?」
「そうだが。…お前と一緒にするな」
「えー?失礼だな。俺、昨日リーリアちゃんと出掛けたのが初デートだし」
(…意外だな)
フィサリスに特別な女性がいないのは知っていたが、女性と二人で出掛けているイメージがあった。表情には出ていないと思うが、かなり驚いていた。
「…どうせ嘘だと思ってるだろ?」
「…悪い」
「まあ、良いけどさ。…そんなことより、アレスはヴィオレット様のこと、どう思ってるんだ?」
「……どう、とは」
「どうって…。まあ、特別とか、好きかってこと」
「……」
───俺は、その問いかけに言葉が出てこなかった。
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