表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/25

結局、勝てない。

新作書き始めたので、よろしければそちらもご覧ください!

 あれから私は、かなり平和な日々を送っていた。…ある一点を除いて。


「リーリア、明日は暇かしら?一緒に行きたい所があるの!」

「ごめんなさい。明日は約束があって…」

「そうなの?残念だわ…」


 お気に入りのお店で明日限定のスイーツがあったので食べたかったのだが、どうやらお預けのようだ。

 今世の私は、これでも公爵令嬢なので、一人で食べに行く訳にもいかない。わざわざ護衛を頼むのも申し訳ない。


 楽しみにしていたスイーツを食べられないと落胆する私に、リーリアが一点の曇りもない笑顔でさらりと言った。


「でしたら、殿下と食べに行かれたらいかがですか?」

「え!?ど、どうして殿下と?」

「だって、婚約者じゃないですか。一緒にお出掛けされても問題ないですよ?」

「だから、殿下は婚約者じゃない……」


「───二人とも、何の話をしているの?」


 リーリアの言葉を否定しようとした私の耳に、悪魔の声が聞こえた。


 恐る恐る振り向くと、思った通り、今日もフィサリスと殿下が立っていた。あれから何故か、四人で昼食をとることになっているのだ。


「…別になんでもないわ」

「えー、本当に?…ね、リーリアちゃん、実際のところどうなの?」

「えっと、ヴィオレット様とスイーツの話をしていて…。明日限定だそうで」

「そうなんだ?じゃあ、オレらも行ってみる?」

「はい!行ってみたいです!」


 話の流れから察するに、リーリアの明日の約束の相手は、フィサリスなのだろうか。


「…ねえ、もしかして二人って、明日一緒に出掛けるの?」

「はい、そうですよ」

「そう、リーリアちゃんとデート!」


 少し表現に違いはあるが、間違っていないらしい。

 この二人、どこか気が合うのか最近仲良さげに話しているのを見かける。最初はフィサリスにリーリアが押され気味だったが、今ではリーリアも楽しそうだ。


 ちなみに、フィサリスがデート、と口にした瞬間、リーリアの顔が真っ赤に染まった。本当に可愛らしくて羨ましい。


 微笑ましく思って見ていると、今まで黙っていた殿下が私に話しかけてきた。


「ヴィオレットもその菓子、食べたいのか?」

「ええ。でも、無理そうなので諦めるしかないですね」

「だったら、俺と……」

「え?」


 殿下が何かを言いかけ、固まってしまった。そして、そのまま私から目を逸らす。


 (…何が言いたいのかしら?)


 最後まで言ってもらわないとわからない。首を傾げそのまま待っていても、殿下はそれ以上何も言わない。…本当に何か言ってほしい。


「ヴィオレット様、せっかくなのでアレスと行ったらどうです?」


 殿下にどこか憐れんだ視線を送りながら、フィサリスが言う。さっきまでリーリアと笑顔で話していたのに、こちらの様子も伺っていたのだろうか。


「殿下も忙しいでしょうから、大丈夫です」

「いや、俺は暇だ」


 さすがに二人きりは色々な意味で無理なので断ろうとしたら、何故か殿下がわざわざ暇だと言う。


「じゃあ、マジで一緒に行けばいいじゃん」


 (…余計なことを言わないで!)


 フィサリスを睨んでみたが、気付く様子がない。もしくは、気付いた上で無視しているのか。


「ヴィオレット。…その、一緒に食べに行かないか」

「ええっと……」


 食べたかったスイーツに推しとのデート。そして、ゲームの婚約破棄の場面を頭に思い浮かべて。


「……行きます」


 結局、欲望に打ち勝てなかった私は、殿下と出掛けることになった。

感想、評価を頂ければ幸いです。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ