心配
「───ねえ、そこのお嬢さんたち!オレたちも一緒にいいかな?」
いいかな、と尋ねながらも既に席に着こうとしている。……図々しい。
アイスグリーンの肩より少し長い髪は軽く結われ、蜂蜜色の瞳は怪しげに細められている。───フィサリス・アモン。それが彼の名前だった。
(……よりにもよって、なんでここでこの人に会うの!?)
フィサリス・アモンも『ライラックの絆』の攻略キャラの一人だった。そして彼も私の破滅の原因になる。
フィサリスは派手な見た目と軽そうな笑顔が特徴的で、アレス殿下とは正反対のタイプのイケメンだ。
…私は殿下の方がかっこいいと思うけど。
フィサリスは気付けば、リーリアの隣にちゃっかり座り、話しかけていた。
「こんにちは、可愛らしいお嬢さん。オレ、フィサリス・アモンっていいます!よろしくね?」
「えっと、リーリア・ジェイドです。…よろしくお願いします?」
「なあ、リーリアちゃんって呼んでもいい?あ、オレのこともフィサリスでいいよ」
「ど、どうぞ……、えっと、フィサリス様」
フィサリスに押され気味のリーリアが困っている。助けに入ろうと思い、声を上げようとした。その時、背後から気まずそうに話しかけられる。
「…いきなりフィサリスがすまない」
「…あ、いえ、大丈夫、です」
(あえて気付かないふりしてたのだけど…)
フィサリスの後ろで目をそらして立っていた殿下に気付いていた。そして、その上でスルーしていた。
まだ少し、普通に話せる気がしなかったから。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
私と殿下の間に沈黙が訪れる。そして何故か、リーリアとフィサリスも黙ってしまう。
(なんで皆揃って黙っちゃうの!?いたたまれないわ…)
「……最近、何があった」
「え?」
「俺を避けているだろう?」
(心配、してくれたのかしら…?)
隣に座っているのに反対を向きながらポツリと呟く殿下を見て、微笑がこぼれる。
「ふふ、心配して下さってありがとうございます」
「…婚約者だから、当たり前だろう?」
「ち、違いますから!!」
私は、殿下の婚約者じゃない。でも、もしそのままいられたなら───きっと幸せなのに。
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本当に皆様、ありがとうございます。




