道中を安全に進んでいるようですよ?
「本当にこれ、ズルですね……」
エチカが虚空の中に存在する透明な壁を叩いてそう言った。
今、俺たちはダンジョン内を安全に進むことが出来ている。
元々はスプレッドラフレシアの攻撃を防ぐだけのつもりだったのだが、どうせならと壁を強固にして他の魔物の攻撃もある程度防げるようにしたのだ。
すると、今この壁を貫通して攻撃出来るのはアサルトバードの最大速度の突撃か、ウインドエイプの風の刃が同時に同じ場所に当たった時ぐらいだろう。
そうして破られた場合はリンたちが魔物を処理し、アリアが全員に解毒の魔法をかけ、再び壁をはる、というものを繰り返す。
とはいえ、アサルトバードが破ってくることはあってもウインドエイプが破ってくることはほぼないし、アサルトバードも最大速度の突撃するためには加速が必要なようで結構遠くから真っ直ぐ来るため、予め躱すこともできるし、撃退の準備もできる。
まぁ、つまりだいぶ安全だ。
この分なら十五階層までの間は常時展開できるし、フロアボス用にある程度温存も出来ている。
初めからこうすれば……と思うかもしれないが、それではリン達が育たない。
むしろ、ずっと安全な探索をしていればカンが鈍ってしまう。
だからこそ、できるだけ普通に探索していたのだ。
……まぁ、気付かなかった、という点もあるのだが。
そうしてそのまま何事もなく、十五階層に降りる階段を発見し、少しの休息をとる。
「シン、次のフロアボスはどんな敵なんですか?」
「一応、ギルドでは『テンペスト』と名付けられている鳥型の魔物らしいが、どんな攻撃をしてくるかは不明だ。たぶん、討伐された記録が少ないんだろうな。最終階層が十五っていうのは記録に書いてあったが魔物のことは書いていなかった」
「えっと、それって……」
「あぁ、このダンジョンに潜る人が少ないのもあるが、単純に強いんだろう」
情報は大事だ。
少しの情報でも対処できるかどうかがガラリと変わる。
しかし、情報がなくても達成しなければいけない時もあるのが冒険者というもの。
いつでも臨機応変に行動出来るようにしなければいけないだろう。
「ってことだから、エリン、ウィズ、それに俺の魔力もほぼ全快近くになるまで休んでから行くぞ」
「わかった」
そう答えたリンの顔つきは真剣なものだった。
この先にいるのは正体不明の強大な魔物、そう考えると仲間を失わないかどうか不安なのだろう。
俺だってそうだ。
もうこの五人にそれにファノンも加えて六人は俺にとってかけがえのないものだ。
こんなところで失うわけには行かないからな。
全力で守らせてもらおう。




