ダンジョンの主?のようですよ?
俺たちは十五階層に警戒しながら降りる。
フロアボスに突然奇襲をかけられる可能性もある。
タンクの俺を先頭にそのフロアに到達する。
そこに広がるのはブラストバイコーンと戦った場所より小さい部屋だ。
天井や壁は丸くなっていて、そのフロアの真ん中には一匹の魔物が見える。
その魔物は小さかった。
というか、上層で見たことがある。
「ブリーズラピッド……なのか?」
「……そんな訳ないじゃん。フロアボスって普通強い魔物だよね?」
俺が頭に浮かんだ魔物を口にするとリンが戸惑いながらそう返してくる。
そうだよな?フロアボスって普通もっと強い魔物だよな?
疑問に思った俺はその魔物をもっと良く観察する。
よく見ると体躯がブリーズラビットより大きく、その足もブリーズラビットに比べて筋肉の付き方が圧倒的だ。
でもそれだけ見ると、よく育ったブリーズラビットなんだよなぁ……
「それにしても、あの魔物動かないですね」
「あぁ、だがまぁこのままにらめっこしてても意味ないしな。仕掛けるぞ」
その一言にウィズとエリンは杖を構えて詠唱を始め、リンとエチカは俺と共にその魔物に近寄る。
その瞬間、魔物の姿がブレて消えた。
その時、俺の盾には何かが物凄い勢いでぶつかってきたのか大きく後ろに吹き飛ばされる。
辺りに空気を切り裂くような轟音が鳴り響き、部屋の真ん中からこれまでの比じゃないほど強烈な風が吹き荒れ、吹き飛ばされそうになるのを必死で堪える。
ブレて消える瞬間に見えたのは足が肥大化し、その足に風を纏わせた魔物の姿……
そこからさっき起こった現象を考えるとおそらく……
「みんな!気をつけろ!こいつは足が早いタイプだ!」
「足が早いなんてもんじゃないですよ!」
今も俺たちの周りを取り囲むように走っているのがわかるが、それは周りから凄まじいほどの暴風が押し寄せてくるからであって、実際に見えるのは白い線だけだ。
正確に魔物の姿を捉えられる速度を超えていた。
「シン、どうする?」
今は自然とみんなで死角のないように立ってはいるがこれではウィズとエリンとアリアは狙われた瞬間に一巻の終わりだろう。
エチカですら反応できるかどうかの速度だ。
近接戦闘慣れしてないと躱すことすら出来ないだろう。
ならば……
「奥の壁を背に陣形を立て直そう」
「ん、分かった」
俺はさっきのダンジョン探索時のように周囲を覆うように壁を展開する。
しかし、その壁の強度は先程の数倍も硬く作ってある。
先程から何度かその壁を蹴られたような感覚が襲うがなんとか壁際まで辿り着くことが出来た。
移動を始めた途端、攻撃が激しくなったのは壁に移動されたくないからであったのだろう。
最初に動かなかったのは真ん中に誘うためであったってことだ。
身体能力だけでなく頭も優れた魔物のようだな……




