家を買うようですよ?
「これまた、でかい家だなぁ……」
俺たちはフレスベルグの街の住宅街の一角、いわゆる富裕層が暮らす辺りを歩いていた。
理由はもちろん家を買うためだ。
いや、ちょっと前までならそんなお金はなかったのだが、魔人の報酬金が予想を超えて高かったのだ。
その額、金貨にして千枚。
まぁ、実際に渡されたのは白金貨十枚だったりする。
高くなった理由として町に壊滅的な被害を与えられるほど強大だったから、だそうだ。
白金貨五十枚はギリーのパーティーメンバーと俺の山分けらしいが、既に王都に向かっているルミナスが自分は何も出来ていないから…と受け取るのを辞退していたらしく、それに倣いアリアとウィズも辞退し始めたので、何故か一人で受け取ってしまった。
ちなみにこの前の魔人、メフィ・サーヴァを撃退したことによる増額の件だが、証拠がないため増額は無しのようだ。
そのついでに屋敷を壊した件についても元々誰も使っていなかったため、完全に撤去すれば弁償しなくてもよいとのことだ。
流石にこんな大金を一人で持っててもしょうがないので、前々から買おうと思っていた家を持つことにしたのだ。
「シン、もうどこにするか決めたの?候補地はここで最後だと思うのだけど」
エリンはいつもの凛とした知性を感じさせるような感じではなく、どこかはしゃいでいる子供のように見えるほどテンションが上がっているようだ。
「シン、この家も凄いわよ!」
「ここ水洗トイレに自動湯沸かし風呂まで付いてます!」
いや、テンションが上がっているのはエリンだけではなく、リンにエチカもだった。
三人とも高機能な家々に興奮しているようだ。
俺とアリアとウィズは昔のパーティーでアールバーグに拠点を構えようと何度か下見をしたことがあったので慣れているが馴染みがないと子供のようにはしゃいでしまうのもしょうがないというものだろう。
ちなみに一番年下のファノンは驚き過ぎたのか、茫然としたまま俺の腕にしがみついていた。
「ここ、結構よくないですか?」
「ん、アリアの言う通り。ここがいい」
「そうだな。水洗トイレにお風呂、それに部屋の数も十分ゆとりがあるしリビングなどの共用スペースも広い。そのうえ、キッチンの設備も整っているし文句なしだな」
「ありがとうございます。それでは、この家にしていただけるということでお値段はこちらになりますが、よろしいでしょうか?」
提示された額は金貨百五十枚とだいぶ高額だったが、魔人討伐により多額の報酬をもらった俺にとっては安いものだった。
俺は家というより屋敷と呼んだほうがふさわしいほどの大豪邸を買ったのだった。




