魔人は逃げ仰せたようですよ?
「クソ!あいつなんなんだよぉ!ブレイクマインドかけても全然操れないし、あんなの反則だろ」
僕はボロボロの体をなんとか動かしながら悪態をつく。
おそらく右腕の腕の骨と胸の骨も折れているだろう。
身動きとるだけで痛むし、腕に至っては全くと言っていいほど動かない。
「アリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズ……」
「はぁ…なんとかこいつを回収したのはいいけど、正直うるさいし邪魔だなぁ」
僕があの場から逃げることが出来たのは半分偶然なところもあった。
あのシンってやつに馬乗りにされボッコボコと殴られている間、僕が大人しく殴られていたわけではない。
なんとか一発殴られる前に闇と光の魔法の応用で実体のある幻影を創り出し、自分自身は影に潜んでいたのだ。
僕が得意なのは闇の魔法系統だが、光の魔法も使えなくはないし、ちょっとだけなら光と闇の複合属性の空間魔法も使える。
街に潜り込んだのも空間魔法を使ってのことだ。
そうしてなんとか隠れられたのだが、実は影に隠れても攻撃は当たるのだ。
というか、ずっと当たっていた。
あいつの殴る威力が強すぎて地面に隠れていた僕にも余波が届いていたのだ。
おかげさまで幻影の僕ほどではないにせよ、怪我を負ってしまったというわけだ。
あいつが気を失って、あの女達に抱かれている間にこの赤髪の素体を回収して逃げ出したのだが、あいつの情報はあの方々に話して早々に処分してもらわないとだ。
今はブレイクマインドにより強制的に引き出された力だが、いずれあいつはあの力を制御してしまうかもしれない。
僕すら抵抗出来ずに逃げることしか考えられないほどの威圧感、さすがに魔王様が勇者以外に負けるところは想像つかないが厄介な敵になることは間違いないだろう。
それまでに僕より上位の魔人があいつを処分に向かうべきだろうね。
……それにしても、あいつの背中に生えていた黒い羽は僕達が生まれて間もないときに飛ぶための補助で生やす羽に似ていたのは気のなのだろうか。
まぁ、別に特別な技術が必要って訳でもないし、普通に出来るか。
ちょっと背中に羽を生やして飛ぶくらい簡単に出来るしね。




