シンのうちに棲うモノ…のようですよ?
体が動かない。
何が起きているかも分からない。
俺が考えられることはただ一つ、壊したい。
霧がかった思考の中、分かっていたのは目の前にある人型の物をただ壊している快感だけだった。
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目が虚ろなままのシンは吹き飛ばした魔人に歩み寄る。
その歩調はあくまでもゆったりとしたペースだが、何故か逃げられないと錯覚させるほどの威圧感を放っていた。
「は、はは…心の内にそんなの飼ってるなんて凄いなぁ。益々面白い奴だね。で、でも今日は分が悪いから引かせてもら―――」
怯えたように空へ逃げ出そうとした魔人だったがシンに足と掴まれ飛び立つことは出来なかった。
シンはその足を掴んだまま、無造作に腕を振り下ろして魔人を地面に叩きつける。
それだけで地面が陥没し、魔人は気を失ったのか動かなくなる。
シンはその動かなくなった魔人に馬乗りになり、容赦なく殴り始める。
シンが一度殴り付けるといくら魔人の強靱な身体とは言え、グシャグシャに陥没していた。
次第に魔人の身体は原形を留めないほどボロボロになり、とっくに魔人は絶命していた。
シンはそこまで殴ってようやく気が済んだのか、魔人を殴ることをやめ、こちらを振り向く。
その間、私達は声も出せずにボロボロになっていく魔人の姿を見ているしか無かった。
「シン…正気に戻ってください」
相変わらず私の発した言葉に返事はない。
「シン!お願い、元に戻って!」
「コワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワス」
ようやく返ってきた言葉は狂っていることが分かる発言だった。
「……アリア、どうする?」
「……どうしようもないですよ。魔人をあんなに易々と殺せる人に抵抗しようとするだけ無駄ですし、それに…シンに殺されるならまだマシというものです」
「わかった」
そんな不吉なことを口走りながらアリアさんとウィズさんがゆっくりと歩み寄るシンの前に出る。
「三人は逃げてください」
「ブレイクマインドは、一時間もすれば、解ける」
「でも、それでは二人が……」
「いいから早く!」
そんな問答をしてる内にシンは既に二人の目の前に迫っていた。
「……シン、あなたに会えて幸せでしたよ。大好きです」
「ん、私も大好き」
そんな純粋すぎる気持ちを告白して、最愛の人に殺されようとしている二人の姿は美しく見えた。
「アリア……ウィズ……?」
そんな二人の姿がシンの心に響いたのか、シンの目に光が戻る。
「無事で、よかった……」
そのまま、シンが膝から崩れ落ちようとしたところをアリアさんとウィズさんが受け止めた。
月明かりに照らされて輝く三人の姿は私たちが憧れてしまうほど絵になっていた。




