第二の魔の手のようですよ?
――――くそっ!全然見当たらない!
アリアとウィズはもしかしたらもう既に町の外まで攫われ出され、俺の手の届かない所に行ってしまったかもしれないという予感が頭をよぎる。
攫いだした本人がギリーということなら少なくとも命を取られていることはないと思う。
だが、ルミナスによるとギリーはどこかおかしくなってしまったらしい。
もし何らかのことでギリーの気が変わってしまったら……と考えると焦らざるを得なかった。
その時だった。
夜の静寂を引き裂くかの如くの激しい雷が突如として発生し、町の建物の辺りに落ちた。
雷魔法……
雷魔法のような複合属性の魔法を使えるのは魔法使いの中でもひと握りだ。
雷魔法使いで思い当たる人は二人いるが、今この状況で考えられるのは一人だ。
エリンの魔法だ。
先程の雷魔法は無駄に派手になるように放っていたため、おそらく俺への合図だ。
つまり、リン達がアリアとウィズを見つけてくれたか、それとも敵と遭遇したのかもしれない。
どちらにせよ、急行するほかない。
俺は合図のあった地点に降り立ち、目の前の建物に入る。
そこにあったのは地獄のような光景だった。
体のあちこちに切り傷を作り、倒れているリンとエチカ。
二人とも出血が酷い。
そんな二人よりもさらに無惨な状態だったのはエリンだ。
エリンは腹の辺りを剣で貫かれ、腕は折られているのかありえない方向に曲がり、糸の切れた人形かのように地に伏している。
唯一の救いは気絶はしているもののアリアとウィズも外傷はなく、ボロボロの三人も辛うじてまだ生きている。
アリアが起きてさえくれれば、アリアの回復魔法の腕なら後遺症もほとんどなく直せるはずだ。
そして、こんな状況を作りだしたと思われる人物はそんな三人の姿を見て笑っていた。
「ギリー!!お前、自分が何をしたか分かってるんだろうな」
「アリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズアリアウィズ」
ニヤリと口元を緩めたギリーの口から漏れ出たのは、攫われていた二人の名前のみだった。
壊れている。
お前になにがあったんだよ……
「あはっ!それはねそれはね?僕が壊しちゃった!」
天井付近から誰かが降りてきた。
その姿は子供のようだが、無邪気に笑っているはずなのにその笑顔には嫌悪感を抱かせるような印象を持たせていた。
「僕の名前はメフィ・サーヴァ。よろしくね」




