あやつり人形のようですよ?
「お前は……魔人だな。何を企んでいる」
心の内で暴れまくる怒りの感情を理性で押さえ込み、あくまで冷静を装って魔人の話を聞く。
「何も企んでないよ?それにしても、早くお仲間さんの治療しなくていいの?」
……この状況で魔人に背を向けるのは危険だが、早めに三人の治療を始めないと命が危ないのも事実だ。
俺は魔人から目を離さないようにしながら意識を失っているアリアの意識を覚醒させる。
「ここは…?――――っ!シン、ギリーが!」
「アリア、詳しい説明は後だ。みんなの治療を頼む」
「え?……!分かりました!」
アリアは一瞬困惑したように見えたが状況を理解すると直ぐに行動に移し始める。
まずは一番危ない状態のエリンを治療するようだ。
「さてと、それじゃあこっちも始めちゃう?楽しい楽しい殺し合いをさ!」
俺は今、盾を持っていない。
まともに魔人と打ち合うのは危険に思われる。
それに魔人の攻撃はどれも派手だ。
町へ被害が出るのは避けたい。
短期決戦に持ち込むしか無かった。
俺は気による身体強化を発動させ、魔人を殴りつけようと駆け出す。
魔人に動きはなく、余裕の笑みを保っている。
こちらを舐めているならやりやすいからありがたい。
そして、ちょうど魔人を殴りつけようとした時だった。
真横から切りつけられ、体制を崩される。
俺を切りつけたのはギリーだ。
身体強化によって皮膚も硬くなり、なかなか切り裂けないはずなんだが、ギリーの剣はいとも容易く俺の体に傷を刻んでいく。
「ギリー!正気に戻ってくれ!」
「あははっ!無駄無駄。完全にぶっ壊れちゃったからね」
俺は魔人の言葉を意図的に無視してギリーの説得を続ける。
こうしている間にも切りつけてきているが、なんとか躱したり流せている。
ギリーの動きが単調で読みやすいのだ。
「それに、今回殺し合う相手は目の前のやつだよ?」
「ふざけるな。俺はギリーを殺さない」
「えー、それじゃあつまんないよ!」
さすがに意識を落とせばギリーの動きは止まるだろう。
ギリーには悪いが少し殴らせてもらう。
俺はギリーが振るう剣戟の合間を縫い、懐に潜り込む。
すると、ギリーはなんとか剣の間合いに持ち込もうとするが、そうはさせない。
俺は素早くギリーの鳩尾に手を当て、身体強化によって力を上げて押し込む。
それだけでギリーの体は吹き飛び、意識を飛ばす。
ギリーの攻撃が単調だったから出来たものの普段のギリーだったらまず剣の間合いから逃すことはないだろう。
「へぇー、なかなかやるんだね?本当に人間は面白いなぁ。なら僕が相手をしてあげる」
本番はこれから始まるのだった。




