アリア・ウィズ救出作戦のようですよ?
ファノンの案内により貧民街の空き家をまわり、とある広い屋敷のような建物にギリー、それにアリアさんにウィズさんの姿を発見した。
「ファノン、あなたは近くに隠れてて。もし戦闘になって私たちがやられたとしても絶対に出てこないこと。いい?」
「……はい。分かりました」
ファノンは言われた通り、屋敷から少し離れた空き家の中に隠れた。
私たちがこれからすることはギリーを打ち倒すことではない。
私たちの目的はあくまでアリアさんとウィズさんを取り戻すことだ。
三人がかりでも勝てる見込みのない敵にわざわざ向かっていく理由がない。
それにシンを呼んだとしても二人を人質にされては動けないだろう。
アリアさんとウィズさんが捕えられている場所は入ってすぐの大ホールのような場所の柱のあたりだ。
二人とも腕と足をロープで結ばれ、口には布を噛ませて詠唱が出来ないようにしているようだ。
それを見た時、私は少し違和感を感じた。
一人でやるには手際が良過ぎないか……と。
もし協力者がいるならそれも考慮しなければならない…か。
どうすれば被害を出さずに二人を救出できるか、それだけを考えていたその時だった。
「エリン!恐らくですが気付かれました!ギリーさんが真っ直ぐ走ってきます!」
え?気付かれた?
勢いよく扉が開き、扉の横にいた私たちの姿がギリーの視界に捕捉される。
どうして気付かれた?
この位置は窓もないし、声量にも気をつけていた。
気付かれる要素はなかったはずなのに……
だが、そんなことを考えていても仕方がない。
気付かれたものは気付かれたのだ。
「リンはギリーの足止めを!エチカは急いで二人の救出!」
私は咄嗟に指示を出し、自分はシンを呼ぶために詠唱を始める。
しかし、当然のことながらリンでは実力が足りず、数秒と持たず切り刻まれ跪く。
その後、既にアリアさんとウィズさんのすぐ近くにいたエチカの元まで信じられないほどの速度で駆け寄り、リンと同じようにボロボロに痛めつけられる。
しかし、もうすぐ詠唱が終わる。
本当はなんとか二人を救出してから託したいところだったが、シンに何とかしてもらうしかない。
「それじゃあ、面白くないなぁ」
辺りに響いたのは少年の声だ。
次に気付いた瞬間には誰かに両腕を折られオモチャにされた後、ギリーに腹を剣で貫かれていた。
「『ライトニング』……」
私は痛みに堪え、なんとか魔法を発現させる。
「あーあ。まぁ、これを見せるのも面白いか。ギリー、こいつらを中に突っ込んどいて」
姿の見えない少年はこの状況を面白がっているようだ。
狂っている。
そう思ったのを最後に私の意識は深い暗闇に落ちていった。




