強襲をかけるようですよ?
俺は上から街を見下ろし、人を探す。
こんな時間に外に出ているのは俺達の他にはそれこそ、悪い奴らしかいないはずだ。
そんな奴らも空から探されることを想定しているはずがないため、直ぐに見つかるはずだ。
しかし、そんな想定とは裏腹にアリアとウィズを攫った奴は見つからない。
ならば、既に街の外か……
俺はさらに高度を上げ、町の外周も人目で見えるような高さまで上がる。
目の感覚が上がっているのか、夜目が聞いているしよく見える。
――――居た!
王都方面に向かおうと馬車を走らせているのが見えた。
こんな時間に町を出るやつがまともなやつなはずがない。
「アリア!ウィズ!」
俺の頭の中は既に二人を助けることと攫ったやつを殺すことのみしか考えていなかった。
突然飛び出てきたので、当然愛用の盾も防具もないが、俺は顔の前で腕を十字に構え、突撃の体制をとる。
そのまま、馬車に向かって落ちるように突撃した。
本来、馬車は魔物の襲撃に備えて頑丈に作ってある。
なので、たかが人ごときが落ちてきてところでビクともせず走り続けることが出来る。
しかし、突撃した馬車はいとも容易く砕け、中に居る人物を露わにする。
しかし、その中にはお目当ての人物は見つからず、居たのは勇者とルミナスだけだった。
「……勇者、てめぇ、アリアとウィズをどこにやった!」
「は?え?この馬車はSランク指定の魔物でもない限りビクとも………」
勇者は本当に混乱しているのか、わざとなのか知らないが質問と全く別のことを口走る。
「アリアとウィズをどこにやった」
「ァ、アリアさんとウィズさんの居場所は私達は知りません……。い、居なくなっちゃったんですかぁ?」
ルミナスが震えながら俺の質問に答える。
攫ったのが勇者じゃない?
なら、誰が?
「……シンさん…なのか?」
「俺が他の誰かに見えるか?」
「いや、今の姿はまさに……なんでもないです。アリアさんとウィズさんですが、ギリーの仕業かと――――」
ギリー?
……そう言えば、勇者パーティーに入ったはずのギリーの姿が見えない。
「ギリーのやつ、昼頃に俺に二人を攫う計画を持ちかけてきたんですよ。当然、俺は断りましたけど」
「……本当だろうな?」
長年の付き合いのギリーがそんなことをするとは思えない。
だが、他に二人を攫い出せるような実力の人物で二人と関係のある人物が思い当たらないのも事実だ。
「多分、本当ですぅ。二人が居なくなってからのギリーさんどこかおかしかったですからぁ」
「……わかった」
俺は使い慣れたものを使うように翼をはためかせ空を舞う。
「ギリー、どうして……」
俺の呟きは空の闇の中に消えた。




