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勇者と賭け事のようですよ?


「返してくれとはどういうことだ?アリアとウィズは別にあなたのものではないだろう?」


「あぁ、そうだな。それは言い方が悪かった。だが、アリアさんとウィズさんは僕の勇者パーティーに入るべきだ」


どちらかと言えば、俺も勇者と同じ意見だ。

アリアもウィズも『冒険者として』なら勇者パーティーに入れるなら入ったほうがいい。

しかし、俺には教えてくれないが、アリアとウィズは勇者パーティーに入らない理由があるらしいのだ。

正直、それを知らない事には何を言っても無駄だ。

原因がわからなければアドバイスも対処もできない。

アリアとウィズは長い付き合いだし、二人のことを将来を考えるのなら富も名声も、そして圧倒的な強さも手に入る勇者パーティーに入ることを勧めるべきだ。


「なぁ?君もそう思っているんだろ?なら二人を説得してくれないか?」


その言葉に勇者が来てから俺の背中に隠れるように逃げていたアリアとウィズの体がビクンと跳ねるのを感じた。

これは…怯えている?

勇者に何かされたのか?

もしかしたらそれが理由で?


「ちっ、はぁ……なぁ、なんで黙ってるんだよ。二人を渡したくないってことか?」


俺が考えて、何もしゃべらないでいると勇者はそれを拒否と受け取ったのか、声を荒立てる。

口調が乱れている。

おそらくこの口調が素なのだろう。

というか、また二人のことを物みたいに言って――――


「アリアさんもウィズさんもあなたのパーティーには渡しません!」


「は?」


突然、リンが口を開き、完全に勇者の提案を否定する。

それを聞いた勇者は間抜けな声をあげ、目を丸くしている。


「おいおい、なんでお前にそんなことを言われなければいけないんだ?…あ、もしかして、お前も入れてほしいとかか?まぁ、それなりにかわいいみたいだし、悪くはないな」


「そんなんじゃありません!それにこのパーティーのリーダーは私です!」


「へぇー、リーダーだったのか。……じゃあ、わかった。勝負をしよう。もし俺がシンに勝ったらアリアさんとウィズさんは俺のパーティーに入るってことで」


もはや、完全に口調が崩れた勇者が勝負を提案してきたが、受けるわけがない。

そもそも、パーティーに入るかどうかはその人の自由だ。

それはたとえ勇者パーティーであったとしても変わらない。


即座に断ろうとしたその瞬間、肩を叩かれた。

振り向くとエリンに耳を引っ張られ、みんなから少し離される。


「エリン。突然なんだ?」


「シン、あのですね、――――――――」


俺は少し声を荒げてしまったが、勝手に長年の仲間が賭けの対象にされたのだから許してほしい。

しかし、一瞬前の俺とは打って変わって、エリンの言葉を聞き、頬が緩む。


そして俺は勇者との勝負を受けたのだった。


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