ざわめきたったようですよ?
「えっ!リンさんのパーティーにアリア様とウィズ様が!?」
ギルド中にシエラさんの驚きの声が響き渡り、辺りの冒険者がざわめきだした。
その声たちの内容は、基本的にリンたち、元々のパーティーメンバーのことを批判する声や俺に対する不満で構成されている。
こういった意味で、アリアたちが入るのは反対的だったのだがな……
俺たちはアリアたちと話し合ってから四日後、ギルドに呼び出されていた。
ギルドに入ってすぐ、シエラさんが出迎えてくれたため、軽く立ち話をしていたところで発生してしまった騒ぎだ。
まぁ、事が事だからシエラさんのことは責められないな。
何故、リンがアリアとウィズがパーティーに入ることを許可したのか。
その理由については、誰も俺には教えてくれなかった。
なにやらあの夜にみんなで集まって話していたようだが、俺は部屋に入れてくれなかった。
その翌日には、俺以外の全会一致でパーティー入りが決まっていたのだから驚きだ。
まぁ、確かに戦力アップになるのは間違いないが、確実に勇者とギリーを敵に回し、恐らくリンたちの陰口も増えるだろうと説得したのだが、『不公平だから』とよくわからないことが理由で却下された。
一体、なにが不公平なのだろうか……
「それで、ギルドからの呼び出しがあったのだが……」
「――――はっ。そうでした!おめでとうございます!リンさん、エチカさん、エリンさんがランクアップですよ!」
俺の言葉に本来の目的を思い出したのか、嬉しそうに口早にしゃべり始めた。
「リンさんたちは今日からCランク冒険者として活躍してもらうことになりますね!この街はCランク冒険者が軒並み出て行ってしまうのでCランク用のクエストはカイルさんたちがこなしてくれていたんですよ。だから今後もこの町で活動してくれると助かります!」
「大丈夫。どうせ、他の町に移動して活動できるほどお金ないから、まだしばらくいるわよ」
「うぅ、どうしてお金ってなかなかたまらないんですかね。そろそろ宿暮らしから卒業したいです……」
リンの言う通り、他の町に移動できるほどお金がないのは確かだ。
俺の場合はこの町なら武具を変える必要がないため、安く済んだ。
しかし、他の街で効率よく稼ぐにはダンジョンに潜る必要があり、ダンジョンは地域ごとに似通った性質のダンジョンが多い。
つまり、この辺のダンジョンとは毛色の異なる魔物や環境に適した武具を揃える必要がある。
そして、装備を整えるには全然お金が足りていない。
エチカは宿暮らしをやめたいとのことだが、居を構えるにしてもお金が必要だ。
当然、家を買えるほどのお金を持っているはずもないため、ただの嘆きだ。
「エチカは家を買いたいのですか?みんなでお金を出し合って共有の家、クランハウスを買うのはどうですか?」
「みんなでお金を出し合っても家を買えるほどたまっていませんよ」
シエラさんそっちのけでキャッキャッと話始める女性陣にため息をつく。
これでは、シエラさんの仕事の迷惑だろう。
すぐにやめさせようと口を挟もうとしたとき、不意に横から声がかけられた。
「君がシン君であってるかな?」
声をかけてきたのは、俺と同じような黒目黒髪に少々幼さを残した顔つき、そして右の手の甲にちらっと見える特徴的な模様が入った男性だ。
その後ろには赤髪の見覚えのある男と、同じように見覚えのある薄いピンク色の髪の女性。
「僕は勇者、鎌瀬剣という。突然だが、アリアさんとウィズさんを返してもらえるかな?」




